Nachts am Schreibepult Op.62-16 Das Holdes Bescheiden |
夜、書き物机で 歌曲集「善き慎み」 |
Primel und Stern und Syringe,von einsamer Kerze beleuchtet, Hier im Glase,wie fremd blickt ihr,wie feenhaft,her! Sonne schien,als die Liebste euch trug,da wart ihr so freudig: Mitternacht summt nun um euch,ach! und kein Liebchen ist hier. |
プリムラとアスターとライラックが 寂しい蝋燭の灯に照らされ ガラスの花瓶の中から まるで妖精のように よそよそしく見つめている! 太陽の輝きの下 あのひとが持って来てくれた時は 喜びに溢れていたのに: 真夜中が花の周りで幽かに唱う今 ああ! あのひとはここにいない |
過剰な情熱を夜の間に落ち着けようという「愛し過ぎて」の後に置かれていますが、どうもなかなか落ち着けそうにはないようですね。プリムラは我が国のサクラソウの亜種。アスターはゲーテの『ファウスト』でグレートヒェンが花びらをむしった花。ライラックはリラとも呼ばれます。
シェックの作曲は情熱的な「愛し過ぎて」と対照的に静謐なもの。演奏はフィッシャー=ディースカウ(クラーヴェス)とボストリッジ(イェックリン)。
( 2005.02.15 甲斐貴也 )