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Schön Rohtraut   Op.62-13  
  Das Holdes Bescheiden
美しいロートラウト  
     歌曲集「善き慎み」

詩: メーリケ (Eduard Friedrich Mörike,1804-1875) ドイツ
    Gedichte  Schön-Rohtraut

曲: シェック (Othmar Schoeck,1886-1957) スイス   歌詞言語: ドイツ語


Wie heißt König Ringangs Töchterlein?
  Rohtraut,Schön-Rohtraut.
Was tut sie denn den ganzen Tag,
Da sie wohl nicht spinnen and nähen mag?
  Tut fischen and jagen.
O daß ich doch ihr Jäger wär!
Fischen and Jagen freute mich sehr.
  -Schweig stille,mein Herze!

Und über eine kleine Weil,
  Rohtraut,Schön-Rohtraut,
So dient der Knab auf Ringangs Schloß
In Jägertracht und hat ein Roß,
  Mit Rohtraut zu jagen.
O daß ich doch ein Königssohn wär'!
Rohtraut,Schön-Rohtraut lieb' ich so sehr.
  -Schweig stille,mein Herze!

Einstmals sie ruhten am Eichenbaum,
  Da lacht Schön-Rohtraut:
Was siehst mich an so wunniglich?
Wenn du das Herz hast,küsse mich!
  Ach! erschrak der Knabe!
Doch denket er: mir ists vergunnt,
Und küsset Schön-Rohtraut auf den Mund.
  -Schweig stille,mein Herze!

Darauf sie ritten schweigend heim,
  Rohtraut,Schön-Rohtraut;
Es jauchzt der Knab in seinem Sinn:
Und würd'st du heute Kaiserin,
  Mich sollt's nicht kränken:
Ihr tausend Blätter im Walde wißt,
Ich hab' Schön-Rohtrauts Mund geküßt!
  -Schweig stille,mein Herze.

リンガング王の娘さんは何て名前?
  ロートラウト、美しいロートラウト
彼女は毎日何してるんだろう
機織も縫い物も好きじゃないのに
  釣りと狩りをしてるのさ
ああ、僕が彼女の狩人だったらなあ!
釣りも狩りもどんなに楽しいことだろう
  ・・・黙ってろって、この心!

そして間もないうちに
  ロートラウト、美しいロートラウト
少年はリンガングの城に仕え
狩猟服を着て馬に乗り
  ロートラウトの狩りのお供
ああ、僕が王子だったらなあ!
ロートラウト、美しいロートラウト、君が大好きなのに
  ・・・黙ってろって、この心!

ある日ふたりが樫の木の下で休んだ時
  美しいロートラウトは笑って言った
何をそんなにうっとり見てるの?
勇気があったらキスしてみなさい!
  ええっ! 少年は腰を抜かした!
でも考えた、キスしていいって言ってるんだぞ
そして美しいロートラウトの唇にキスをした
  ・・・黙ってろって、この心!

それからふたりは黙って馬で帰った
  ロートラウト、美しいロートラウト
少年は心の中で小躍りしていた
たとえ君が今日皇女になったとしても
  僕は悲しんだりしない
森の万の木の葉が知っている
僕は美しいロートラウトにキスしたんだ!
  ・・・黙ってろって、この心!

ヴォルフの作曲しなかったメーリケ詩でも名高い作のひとつ。繰り返される「・・・黙ってろって、この心!」が、初めのうち大それた夢を恥じるニュアンスであったのが、大きな喜びを隠しがたい気持ちの表現に変わるのが面白いと思いました。どこかヴォルフの作曲で名高い「庭師」を思わせる詩ですが、詩集でもその次に置かれています。
メーリケの友人作曲家エミール・カウフマンの歌曲作品があるほか、シューマンとフーゴー・ディストラーが合唱曲を作曲しています。カウフマンの素朴な有節歌曲や合唱作品にいかにもふさわしい民謡風の詩ですが、シェックの作曲は素朴さも失わずに楽しい歌曲に仕上がっています。 
演奏はフィッシャーディースカウ(クラーヴェス)とボストリッジ(イェックリン)。

( 2005.02.12 甲斐貴也 )


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