El Cant dels Ocells |
鳥の歌 |
En venure desuntar el major Iluminar En la nit mes ditxosa, Els ocellets cantant a feste jar-lo van Amb sa veu melindrosa. I l'aliga imperial pels aires va volant Cantant amb melodia, Dient:Jesus es nat Per treure'ns del pecat I dar-nos alegria. |
輝かしい光が降り立つときに この幸せな夜 小鳥たちは喜びを歌う その美しい歌声で そして立派な姿の鷲が空を横切りながら こう歌うのだ 「イエス様がお生まれになった われらを罪から救い そして喜びをもたらすために」 |
先日亡くなったスペインの名ソプラノ、ヴィクトリア・デ・ロス・アンヘレスを偲びながら、彼女の遺したスペインやフランスの様々な歌曲を聴いています。フォーレやラヴェルなどのフランスものもとても素敵なのですが、今回改めてじっくり聴いて震えがきたほど素晴らしかったのはやはりお国ものスペインの音楽。
技巧の高さや歌の精緻さはそれほどない人ではありましたが、民謡をもとにしている曲が多いスペインの歌に対しては何とも言い難い味があります。それが芸の力とでもいいましょうか。歌のウマイ歌手は増えましたが、こういう芸の格のある歌手って少なくなりましたね。
ロドリーゴやモンポウ、グラナドスにエスプラといった人たちのスペイン民謡をもとにした音楽はやはり彼女のような歌で一層引き立ちます。いずれ時間を取ってこのサイトでも手薄なスペイン歌曲を充実させるべく、彼女やベルガンサ、カバリエなんかの歌を集中的に取り上げてみたいものです。
さて、今回は彼女の歌ったスペインの歌から取り急ぎ1曲、往年の名チェリスト、パブロ・カザルスによって有名になったカタロニア民謡「鳥の歌」を取り上げてみました。この曲チェロで演奏されることが多いせいか歌詞はほとんど知られていないように思いますが、実はクリスマスの喜びを歌った歌なのですね。何だか暗く悲しい旋律と、スペイン独裁政権から亡命してきたカザルスの人生やメッセージとシンクロして、もっと悲惨な内容かと思っていただけにこの詞をはじめて見たときは意外でした。
ロス・アンヘレスの歌はロス・マルバの編曲、指揮によるバルセロナのオーケストラ伴奏。しみじみとクリスマスを祝う美しさにみちあふれています。よくよく聴くとこの地をかつて支配していたアラブの音楽の影が見え隠れしていますね。そんなところが不思議な響きを醸し出しているのでしょうか。
(ヴィクトリア・ロス・アンヘレスの思い出に)
( 2005.01.30 藤井宏行 )