千曲川旅情の歌 1 |
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小諸なる古城のほとり 雲白く遊子(ゆうし)悲しむ 緑なす繁縷(はこべ)は萌えず 若草も籍(し)くによしなし しろがねの衾(ふすま)の岡辺 日に溶けて淡雪流る あたゝかき光はあれど 野に満つる香も知らず 浅くのみ春は霞みて 麦の色わずかに青し 旅人の群はいくつか 畠中の道を急ぎぬ 暮行けば浅間も見えず 歌哀し佐久の草笛(歌哀し) 千曲川いざよう波の 岸近き宿にのぼりつ 濁り酒濁れる飲みて 草枕しばし慰む |
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( 2017.07.22 藤井宏行 )