Das Köhlerweib ist trunken Alte Weisen. Sechs Gedichte von Gottfried Keller |
炭焼き女が酔っ払って 古き調べ:ゴットフリート・ケラーの6つの詩 |
Das Köhlerweib ist trunken Und singt im Wald, Hört,wie die Stimme gellend Im Grünen hallt! Sie war die schönste Blume, Berühmt im Land; Es warben Reich' und Arme Um ihre Hand. Sie trat in Gürtelketten So stolz einher; Den Bräutigam zu wählen, Fiel ihr zu schwer. Da hat sie überlistet Der rote Wein - Wie müssen alle Dinge Vergänglich sein! Das Köhlerweib ist trunken Und singt im Wald; Wie durch die Dämmrung gellend Ihr Lied erschallt! |
炭焼き女が酔っ払って 森の中で歌っているわ。 聞いて、あの耳も割れんばかりの声が 緑の中に響きわたっているでしょう! 彼女は最も美しい名花として 国中に聞こえていたの。 富める者も貧しい者も 彼女を手にいれようと必死だったわ。 彼女は鎖のベルトをしめて、 乙に澄まして歩いていたわ。 でも婿選びは 苦手だったのね。 それで彼女は 赤ワインに溺れてしまったの。 万事が なんてはかない定めなのでしょう! 炭焼き女が酔っ払って 森の中で歌っているわ。 黄昏の中、耳をつんざく 彼女の歌が響きわたっているわ! |
この詩はケラーの<古き調べ>では9番目に置かれている(<女性について>では「クニグンデ」(Kunigunde)という女性名が付けられて、12番目に置かれている)。この<古き調べ>の詩は<女性について>に掲載された詩より1節少ない(第2節に相当する内容が省かれた)。
かつて美貌を誇り、おつに澄まして男を寄せ付けなかった炭焼きの女性が、伴侶選びにしくじり、酒に溺れて聴くにたえない歌を歌うようになったという話を第三者の立場で語る。
ヴォルフは、昔日の面影を残さない哀れな酔っ払いの女性を、強烈な音楽で徹底的に皮肉った。この類のグロテスクな表現はヴォルフにとってお手の物だったろう。前打音付きのオクターブの動機が耳をつんざくような女性の金切り声を描写し、酔っ払っている様を得意のトリルや急速なパッセージで表現する。歌い手は、詩にのっとり第三者の視点を保ち、婿選びに失敗した箇所やワインに溺れたくだりも特に強調することなく、一つの話として急速なテンポの流れにのせてあっという間に歌いきる。ピアニストの描写力とそれに見合ったテクニックも重要だが、歌い手はこのテンポの中でさまざまな声の演技力を問われるだろう。
アーメリング(S)、ヤンセン(P):1981年6&8月:アーメリングは哀れな女性の物語を、目に浮かぶような鮮やかな臨場感で伝えてくれる。ヤンセンのテクニシャンぶりも存分に発揮されている。
シュヴァルツコプフ(S)ムーア(P):1962年12月:シュヴァルツコプフはまさに誇り高い女になりきって、この小アリアを激しく、そしてみじめに演じきっている。ムーアは音の濁りもものともせず、大胆にペダルを使って「耳も割れんばかりの声」を演出している。
ヴァレンテ(S)レイム(P):1985年7月:ヴァレンテは丁寧だがやや大人しい印象。レイムはのめり込まず、第三者的で冷静な演奏が印象的。
( 2005.01.22 フランツ・ペーター )