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Die Nachtigallen   Op.21-2  
  Zwei Lieder
小夜鳴鳥たち  
     2つの歌曲

詩: アイヒェンドルフ (Josef Karl Benedikt von Eichendorff,1788-1857) ドイツ
    Gedichte - 5. Totenopfer  Die Nachtigallen

曲: プフィッツナー (Hans Pfitzner,1869-1949) ドイツ   歌詞言語: ドイツ語


Möcht' wissen,was sie schlagen
So schön bei der Nacht,
's ist in der Welt ja doch niemand,
Der mit ihnen wacht.

Und die Wolken,die reisen,
Und das Land ist so blaß,
Und die Nacht wandert leise
Durch den Wald übers Gras.

Nacht,Wolken,wohin sie gehen,
Ich weiß es recht gut,
Liegt ein Grund hinter den Höhen,
Wo meine Liebste jetzt ruht.

Zieht der Einsiedel sein Glöcklein,
Sie höret es nicht,
Es fallen ihr Löcklein
Übers ganze Gesicht.

Und daß sie niemand erschrecket,
Der liebe Gott hat sie hier
Ganz mit Mondschein bedecket,
Da träumt sie von mir.

いったい何をさえずっているのだろうか
こんな夜中にあんなに美しく
世の中では人っ子ひとり
起きている者はいないのに

雲は旅ゆき
大地は蒼白く
夜は静かに彷徨う
森を通り 草を越えて

夜が 雲が どこへ行くのか
僕は良く知っている
この丘の向こうに
僕の愛する人の眠る土地があるのだ

隠者が鈴を振っても
あの人には聞こえない
美しい巻き毛が下がって
顔をすっかり隠しているから

そして誰もあの人を驚かさないよう
神さまが月の光で
すっぽり覆ってくださっている
そこであの人は僕の夢を見ているのだ

プフィッツナーはアイヒェンドルフの詩に多く作曲していますがそのひとつ。死んだ恋人を思う男の詩で、小夜鳴鳥の名は題名にしか出てこないのが面白いです。何の言及もありませんが、主人公は小夜鳴鳥の鳴き声に恋人の声を聞いているような気もします。
隠者の鈴というのが良くわからないのですが、隠者聖アントニウスのことでしょうか。11世紀のペストの流行時にその名を冠した「聖アントニウス救済修道会」が患者の救護に活躍し、鈴を悪霊を払ったり托鉢の知らせに使っていたそうですが、恋人が疫病で病死したという暗示と考えるのはあまりに安直でしょうか。
プフィッツナーの曲は穏やかで淡々とした、聴くほど味わいの増す渋い作品です。かつてフィッシャー・ディースカウが録音していたほか(EMI)、CPOの全集でテノールのプレガルディエンが歌っています。プフィッツナーの歌曲を聴くなら、他にもフェルミリオン、アンドレアス・シュミット、ロベルト・ホルという実力派を揃えているこの全集を思い切って購入するのが一番です (CPO 999 789-2)5CD。

( 2005.01.10 甲斐貴也 )


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