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木にかえる   Op.77  
  Return to a tree op.77
 
     歌曲集「木にかえる」

詩: 森永かず子 (Morinaga Kazuko,-) 日本
      

曲: 近藤浩平 (Kondo Kouhei,1965-) 日本   歌詞言語: 日本語


波のように
鳥はわたり
空を映した水が
遠い命の記憶にふるえる
海をくぐる鳥
空をおよぐ魚
見おくるわたしだけが
きのうも今日もここにいる
あおむき うつむき
じっと 佇ちつくして

ながされていく日々の
そのつましさのなかに
ふと開かれるおどろき
強いられてたどるアリの道先にも
朽ちていく花の 
さし出す葉影

いま 浸食されていく時の岬にたち
見はるかせるものとの親しい道へかえろう
ふせた視線をはがし
手鏡をすてて
やがて わたしは木になる
そよそよと
世界に手をふる一本の木になる
空と大地に結ばれようと
深い皺を体じゅうに走らせて
どこまでも大きく伸びをする



編成:ソプラノ・ピアノ

曲目解説:
第1曲 木にかえる 
海も空も全てが水と生命に満たされた空間として広がる。「空と大地に結ばれ」、「世界に手をふる一本の木になる」「わたし」の声。

初演:2004年9月12日 神戸北野クレオール「MU楽団 日本歌曲Vol.1 」
ソプラノ:美堂舞 ピアノ:植田浩徳。

再演:2004年11月28日 東京オペラシティリサイタルホール「第13回 21世紀日本歌曲の潮流」ソプラノ:藤原映子 ピアノ:甲斐万喜子。

作詩者プロフィール:
森永かず子
長崎県西彼杵郡在住。詩誌『子午線』同人。「木にかえる」で第43回 長崎県文芸大会現代詩部門 第一席受賞。
http://www.h2.dion.ne.jp/~ondine/index.htm

作曲者プロフィール:
近藤浩平(こんどう こうへい) Kondo Kohei
1965年生まれ。関西学院大学文学部美学科にて畑道也氏に音楽学を学ぶ。国際ピアノデュオコンクール作曲部門入選。山や自然に関わる作品が多い。日本作曲家協議会会員。
http://members.aol.com/R5656m/

主要作品:
「島」「森の声」「3つの木の組曲」「白い岩山への行進第2番」「旅について」「海の笛、山の笛」「木にかえる」「上海の猫」「うみ山のあいだ」「島と山の小品」「吹き流し」「山小屋の4つの窓」

( 2004.12.13 近藤浩平 )


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