TOPページへ  更新情報へ  作曲者一覧へ


  Op.73  
  Umi Yama no Aida
 
     歌曲集「うみ山のあいだ」

詩: 江森國友 (Emori Kunitomo,1933-) 日本
      

曲: 近藤浩平 (Kondo Kouhei,1965-) 日本   歌詞言語: 日本語


瞳はそっと少女の心を拾い上げる
心は木の実のように人知れずぽっと落ちて
いつも空を見上げているのだ

掌にすると

一瞬 含羞に身を寄せる
青い空の下に影を造らせないので
少女には記憶がないのだと想う
一九四三年・夏 父の死
小鳥の墓 孤を描く焼木
母のこと 長い血縁の生理や
出生の由来を此の風土に尋ねることより
悲しいことはない
少女はまた
終日 海の心を知ろうと渚にたたずむ
透明な貝の耳である
海の話を聴きながら
いつか海の心を知れ得ずして砂に消える
全きを希ってかなわず
変貌に移ろう花の季節でもあろうか

心を寄せかけると
少女はその重みに耐えられない
唯、肉体を土深く埋めて
愛は土に帰り
何時もぽっと落ちて

天を仰いでいる少女の心を
秘かにその掌に捕らえる



曲集を纏めたページに全体のコメントを記載しています。
   Umi Yama no Aida 歌曲集「うみ山のあいだ」

( 2004.12.13 近藤浩平 )


TOPページへ  更新情報へ  作曲者一覧へ