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Voice of the forest   Op.46  
 
森の声  
    

詩: 江森國友 (Emori Kunitomo,1933-) 日本
      

曲: 近藤浩平 (Kondo Kouhei,1965-) 日本   歌詞言語: 日本語


1
山のいただきは
したしい日のさかりに
ともされる
桃色に 木は
こまかくなごんで
雲の切れ間を
青空で むずぶ


木洩れ日のあいだを
雉子がはしる 雪と
枯れ草をしだかせて
山と山のあいだを
水がうごく
くぼみは ぬれて
みず草がこぼれる


あかい森から
うた声が ひろがる
こまかく柔軟な
やがて粉雪は
森を しろくする


雪は ほんとうに
訪ねるのである
おなじしたしさで
農夫の手にすくわれる
籾種の ひとつ
ひとつと


ほとけたちは
水にうたれる
みずたち
水泡たち


うすむらさきの森に
鳥はくちばしをはしらせる
よりそうと
しらかばは
三つの指で
くれていく空をつかむ


森は
もえるように
ねむる
羊がこっそり顔をだす
そのとき
羊は かぞえきれない



編成:メゾ・ソプラノ、ヴィオラ、ピアノ

曲目解説:
森の声を聴く人の声。「森の声」に歌われる森は、人の生活圏から距離的にはすぐ近くにある森だと思う。耳を傾ければ音が聞こえる近くの森だが、人には把握できないほど様々な声を発している。現代では人間の生活圏からの雑音が増え、森の声がききとれるだけの透明な音の空間が失われつつある。
「森の声」は、江森國友氏の詩集「宝篋と花讃」(1971年)におさめられている。江森國友氏のサイトにもかかげられている。http://www.lapis.co.jp/emori/j/
1999年に当初、メゾ・ソプラノとピアノの編成で作曲し、奏楽堂歌曲コンクールに応募したが予選にて落選。同年、歌のパートはほとんど変更せずにヴィオラを加えて改作。ヴィオラ付き歌曲は、実演に接する機会が乏しいがブラームス等に先例がある。

初演:2002年11月27日 東京 すみだトリフォニーホール 小ホール 「第9回 21世紀 日本歌曲の潮流」(国際芸術連盟主催)。メゾ・ソプラノ:森下麻衣子 ヴィオラ:守重信郎 ピアノ:甲斐万喜子。

再演:2004年3月27日 神戸北野クレオール「MU楽団 近藤浩平作品展 歌曲とピアノ連弾」ソプラノ:美堂舞 ヴィオラ:田代直子 ピアノ:植田浩徳。2004年9月12日 神戸北野クレオール「MU楽団 日本歌曲Vol.1」、ソプラノ:美堂舞 ヴィオラ:木野村望 ピアノ:植田浩徳。

CD:初演のライブ録音がCD「Z21世紀日本歌曲の潮流」JILA-1537に収録されている。
(2004.12.13 近藤浩平)

作曲者プロフィール:
近藤浩平(こんどう こうへい) Kondo Kohei
1965年生まれ。関西学院大学文学部美学科にて畑道也氏に音楽学を学ぶ。国際ピアノデュオコンクール作曲部門入選。山や自然に関わる作品が多い。日本作曲家協議会会員。
http://members.aol.com/R5656m/

主要作品:
「島」「森の声」「3つの木の組曲」「白い岩山への行進第2番」「旅について」「海の笛、山の笛」「木にかえる」「上海の猫」「うみ山のあいだ」「島と山の小品」「吹き流し」「山小屋の4つの窓」

( 2004.12.13 近藤浩平 )


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