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阿蘭陀船    
 
 
    

詩: 北原白秋 (Kitahara Hakusyuu,1885-1942) 日本
      阿蘭陀船(てまりうた)

曲: 藤井清水 (Fujii Kiyomi,1889-1944) 日本   歌詞言語: 日本語


一つ、肥前の長崎に、
和蘭陀船が舞ひ込んだ、
舞ひ込んだ。

二つ、不思議な切支丹、
伴天連(ばてれん)尊者が御土産は、
御土産は。

三つ、聖磔(みくるす)、デウスさま、
おん母マリヤの観世音、
観世音。
 
四つ、よい御子、神の御子、
洗礼なさるはヨハネさま、
ヨハネさま。 

五つ、イエスス・キリストス、
南無や波羅葦曽(ハラキソ)善主麿(ゼンシユマロ)、
善主麿。

六つ、廐のまぐさ桶、
聖廟(おはか)は猶太(ゆだや)のヱルサレム、
ヱルサレム

七つ、南蛮、瓜哇(じゃわ)過ぎて、
呂宋(るそん)、澳門(あまかわ)、平戸灘、
平戸灘。

八つ、病にゃ蘭法医(らんぽうい)、
解剖(ふわけ)のお書物、麻睡薬、
麻睡薬。

九つ、コンダツ、顕微鏡、
写真に油絵、砂時計、
砂時計。
 
十、遠眼鏡、ヱレキテル、
幻燈に羅面琴(らめいか)、オルゴオル。
オルゴオル。

みんな揃へて、
紅髭加比丹(あかひげかぴたん)が、
紅髭加比丹が、
ジヤガタラくろんぼを喇叭(らっぱ)で呼びあつめ、
アラ、ラル、ラル、ラ、
ホラ、ラル、ラル、ラ、
珍妙、珍妙、珍?(ちんた)のお酒でひとをどり、
ホラ、ラル、ラル、ラ、
まづまづ一船(ひとふね)あけました。




山田耕筰にもこの詩につけた曲がありますが(童謡100曲集より)、これは藤井の曲の方が耳に残るメロディのように思います。エキゾチックな情景を淡々とやさしい歌で紡ぎ出す、関定子さんの見事な歌声で聴くことができました。

( 2017.04.22 藤井宏行 )


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