阿蘭陀船 |
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一つ、肥前の長崎に、 和蘭陀船が舞ひ込んだ、 舞ひ込んだ。 二つ、不思議な切支丹、 伴天連(ばてれん)尊者が御土産は、 御土産は。 三つ、聖磔(みくるす)、デウスさま、 おん母マリヤの観世音、 観世音。 四つ、よい御子、神の御子、 洗礼なさるはヨハネさま、 ヨハネさま。 五つ、イエスス・キリストス、 南無や波羅葦曽(ハラキソ)善主麿(ゼンシユマロ)、 善主麿。 六つ、廐のまぐさ桶、 聖廟(おはか)は猶太(ゆだや)のヱルサレム、 ヱルサレム 七つ、南蛮、瓜哇(じゃわ)過ぎて、 呂宋(るそん)、澳門(あまかわ)、平戸灘、 平戸灘。 八つ、病にゃ蘭法医(らんぽうい)、 解剖(ふわけ)のお書物、麻睡薬、 麻睡薬。 九つ、コンダツ、顕微鏡、 写真に油絵、砂時計、 砂時計。 十、遠眼鏡、ヱレキテル、 幻燈に羅面琴(らめいか)、オルゴオル。 オルゴオル。 みんな揃へて、 紅髭加比丹(あかひげかぴたん)が、 紅髭加比丹が、 ジヤガタラくろんぼを喇叭(らっぱ)で呼びあつめ、 アラ、ラル、ラル、ラ、 ホラ、ラル、ラル、ラ、 珍妙、珍妙、珍?(ちんた)のお酒でひとをどり、 ホラ、ラル、ラル、ラ、 まづまづ一船(ひとふね)あけました。 |
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山田耕筰にもこの詩につけた曲がありますが(童謡100曲集より)、これは藤井の曲の方が耳に残るメロディのように思います。エキゾチックな情景を淡々とやさしい歌で紡ぎ出す、関定子さんの見事な歌声で聴くことができました。
( 2017.04.22 藤井宏行 )