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Auf der Teck (Rauhe Alb)   Op.62-6  
  Das Holdes Bescheiden
テックにて(山の荒れ地)  
     歌曲集「善き慎み」

詩: メーリケ (Eduard Friedrich Mörike,1804-1875) ドイツ
    Gedichte: Nachlese III  Auf der Teck

曲: シェック (Othmar Schoeck,1886-1957) スイス   歌詞言語: ドイツ語


Hier ist Freude,hier ist Lust,
Wie ich nie empfunden!
Hier muß eine Menschenbrust
Ganz und gar gesunden!

Laß denn,o Herz,der Qual
Froh dich entbinden,
Wirf sie ins tiefste Tal,
Gib sie den Winden!

Mag da drunten jedermann
Seine Grillen haben:
Wer sich hier nicht freuen kann,
Lasse sich begraben!

Laß denn,o Herz,der Qual
Froh dich entbinden!
Wirf sie ins tiefste Tal,
Gib sie den Winden!

ここには喜びがある ここには楽しみがある
これまで覚えたことがないほどの!
ここで人の心は
全く癒されるに違いない!

 だから おお心よ 苦しみから
 自分を朗らかに解き放ち
 そんなものは深い谷に投げて
 風にでもやってしまえ!

あの下の方で
くよくよしている誰であろうと
ここで喜ぶことが出来ない人間は
自分を埋葬してしまうがいい!

 だから おお心よ 苦しみから
 自分を朗らかに解き放て!
 そんなものは深い谷に投げて
 風にでもやってしまえ!

※)テック=テック山”Teckberg”。シュヴァーベン地方に連なる山脈シュヴァーベン・アルプの中の標高850メートルほどの自然に恵まれた山。その麓にはキルヒハイム・ウンター・テック市などがある。


人里を離れて山に登った詩人。そこで開放感を覚え自然を讃美しますが、結局後半4分の3で語られるのは深い苦悩の示唆です。第一連後半と第二連後半がほぼ同じですが、有節歌曲の歌詞として書かれた詩でしょうか。シェックの作曲も素朴さを生かすシンプルなものになっています。なおこの詩は手持ちの独インゼル社の全詩集では「補遺V」に収められており、邦訳が出ている「詩集」には含まれていません。
二種の全集でフィッシャー=ディースカウとリン・ドウソンによる歌唱が聴けますが、この曲には往年の名歌手エリザベート・グリュンマーによる60年代のライブ録音があり、なかなかの聴き物となっています。ピアノは若き日のアリベルト・ライマンです(独オルフェオ)。

( 2004.12.04 甲斐貴也 )


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