In ein Autographenalbum: Fünf Sprüche Op.62-26 Das Holdes Bescheiden |
「サイン帳に」〜『五つの短詩』より 歌曲集「善き慎み」 |
Mein Wappen ist in nicht adelig, Mein Leben nicht untadeling Und was da wert sei mein Gedicht, Fürwahr,das weiss ich selber nicht. |
私の家柄は高貴なものではない 私の人生は非の打ち所がないものではない そして私の詩の価値ときたら 自分でもさっぱりわからない |
これも「詩集」には含まれず全詩集の「補遺」に収められる詩ですが、誰かに求められてサイン帳に書いたものでしょうか。謙遜と言えばそうですが、メーリケの人を食ったユーモア感覚の発露でもありましょう。シェックの作曲もそのような雰囲気です。二種の全集でフィッシャ=ディースカウとボストリッジという超大物の聞き比べが出来ますが、こういう曲ではフィッシャー=ディースカウが正に「人を食って」くれます。
( 2004.12.11 甲斐貴也 )