わがねがひ |
|
すべてのものの騒しきなかに たゞひとり静かにさびしく すべてのものの美しきなかに たゞひとり姿みにくく すべてのものの富めるなかに たゞひとりいとも貧しく ひとの目につくり飾らず 人のおもひに心いためず しづかにて しづかにて いとも淋しく われぞあらなむ |
|
ハイネの詩の見事な翻訳をこなすような繊細な詩人・生田春月のものらしいとても内省的な詩です。ただいじけてるだけのようにも読めなくはありませんが。草川のメロディもじっくりと物思いに耽るような感じで耳にやさしくはないですが結構聴きごたえのある作品です。
( 2017.04.09 藤井宏行 )