かちかち山の春 |
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かちかち山の花すみれ 狸は火傷で穴ごもり 兎の大工は船つくり 小川のやなぎも芽を吹いた 雨ふりや爺さんさびしかろ お臼のうしろで矮鷄が啼く 日が照りや鍛冶屋がカアンカン お寺ぢや甘茶の花祭 兎はせつせこ、鉢卷だ それでも土舟まだできぬ |
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春ののどかさの中、かちかち山の登場人物たちが忙しく動き回っているさまをユーモラスに描きます。妻をこの騒動で失った爺さんだけが何とも言えず可哀想ではありますが。草川のメロディも淡々としてなかなか素敵です。大正期、「赤い鳥」に掲載された作品なのだそうです。
( 2017.04.07 藤井宏行 )