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Jingle Bells    
 
ジングルベル  
    

詩: ピアポント (James Pierpont,1822-1893) アメリカ
      

曲: ピアポント (James Pierpont,1822-1893) アメリカ   歌詞言語: 英語


Dashing through the snow,
in a one-horse open sleigh,
Over the fields we go,
laughing all the way.
Bells on bob-tails ring,
making spirits bright,
What fun it is to ride and sing
a sleighing song tonight.

(Chorus)
Jingle bells,jingle bells,
jingle all the way!
O what fun it is to ride
in a one-horse open sleigh.
Jingle bells,jingle bells,
jingle all the way!
O what fun it is to ride
in a one-horse open sleigh.


A day or two ago,
I thought I'd take a ride
And soon Miss Fanny Bright,
was seated by my side;
The horse was lean and lank,
misfortune seemed his lot;
He got into a drifted bank
and we got upsot

(Chorus)


A day or two ago,
the story I must tell
I went out on the snow,
and on my back I fell;
A gent was riding by,
in a one-horse open sleigh
He laughed as there I sprawling lie
but quickly drove away

(Chorus)


Now the ground is white,
go it while you're young
Take the girls tonight,
and sing this sleighing song;
Just bet a bob-tailed bay,
two-forty as his speed
Hitch him to an open sleigh
and crack! you'll take the lead

(Chorus)

雪の中を突っ走る
1頭立てのそりに乗り
野原を越えてぼくらは行く
笑いながら。
尻尾についた鈴が鳴ると
心も朗らかになる
なんて楽しいんだ、そりに乗って
今宵そりの歌を歌いながら行くのは

(合唱)
鳴れよ鈴、鳴れよ鈴
道じゅう鳴り響け
なんて楽しいんだ、そりに乗って
走るのは、ヘイ!
鳴れよ鈴、鳴れよ鈴
道じゅう鳴り響け
なんて楽しいんだ、そりに乗って
走るのは


数日前
そりに乗ろうと考えてたら
ミス ファニー・ブライトが
ぼくの隣に座ったんだ
馬がやせていたせいで
運の悪いことには
ぼくらは雪溜まりにぶつかって
そこでひっくり返ってしまった

(合唱)


数日前に
実はあったことなんだけど
雪の中を出かけているとき
ぼくは背中から転んでしまったんだ
1頭立てのそりに乗った
ひとりの男の人が
大の字に倒れているぼくを見て笑いながら
走って行ってしまった

(合唱)


さあ、大地は真っ白だ
若いんだからドライブしよう
女の子たちを一緒に乗せて
そしてそりの歌を歌うんだ
切り尾の鹿毛の馬に賭けよう
すごいスピードに2ドル40セント
そいつにそりを繋いで
さあ行くぞ!一番乗りだ

(合唱)

クリスマスの定番音楽ともいえる有名なジングル・ベル、実は作曲は1857年と大変古い歌です。歌詞もクリスマスとは関係なく冬のそり遊びの歌なのですが、今やこの音楽が鳴るとクリスマスを条件反射的に思い出してしまうほどになってしまいましたね。
第1番の歌詞は日本でも原詞の英語でよく知られているようですが、2番以降はあまり取り上げられることもなく、知られざるお話になっているようにも思います。よく読んで見ると冬のティーンエイジャーたちの楽しみといった感じで微笑ましく、時代は違ってもやることや発想は同じなんだなあ、と大変面白く訳せました。(確かに自動車のない時代、スピード感を味わえるそり遊びなんかは「若いんだからドライブしなくちゃ」ですよね。ちなみに最後のTwo-forty(42?)というのはスピードですが、これを時速とすると時速42マイル=およそ時速70キロ弱ですからかなりの速さ!)

#2006年12月補足:Jazz詩大全・クリスマス編などを見ると、このTwo-fortyというのが2ドル40セントとなっていたばかりでなく、その前のフレーズのJust getがJust betなっていました。ですから正確に訳すと「栗毛の馬に金を賭けよう、そいつのスピードに2ドル40セント」といったところになるでしょうか。ネット上での歌詞もgetとbetが半々くらいなのですが、これは確かに金を賭ける意味に取る方が正しそうですね。間違ったコメントで申し訳ありませんでした。

作者のピアポントも教会関係者なのでしょうか。この曲は1857年、ボストンで日曜学校の感謝祭(Thanksgiving 11月末です)の式典のために作られた歌だそうです。そこで子供たちに大ヒットだったのでクリスマスにも再び歌われ、そして古くから冬の定番音楽となりました。
冬の遊びからテーマが取られ、やがてクリスマス音楽のようになってしまった日本でも有名な曲にはその後も”Winter Wonderland”(F. Bernard / D. Smith)や”Frosty the Snowman”(S. Nelson / J. Rollins)と続きますのでそのはしりとなった名曲かと思います。
また、この曲もフォスターやヘイス、ワークの作品で見たようなこの時代のアメリカのポピュラー歌曲のスタイル、ソロと合唱のリフレインを取っていることにも注目しておきましょう。

このノリはあまりクラシック系の歌手は得意としないところでしょうか。探してみましたがほとんど録音らしきものはないですね。テノールのロベルト・アラーニャが歌ったのがありましたがかなり怪しい出来映えになっています。
それよりもずっと興味深いのは50〜70年代の日本の歌謡界です。洋楽のカヴァーと同時にクリスマスの風習もどんどん受け入れられてきた時代だからでしょうか、実に多くの人がクリスマスアルバムを作り、この曲やホワイト・クリスマス、赤鼻のトナカイなどの歌を歌っています。江利チエミ・雪村いづみといった洋楽カヴァーを得意としていた人たちならまあ分かりますし実に素敵な歌を聴かせてくれますが、舟木一夫とか奥村チヨ、平田隆夫とセルスターズやジャッキー吉川とブルー・コメッツ、といった人たちとなると果たしてどんなジングルベルを聴かせてくれているのか(想像も付きませんが)?山本リンダ・石原裕次郎・布施明・フランク永井といった人たちも濃いソリ遊びの世界を形成していそうです(さすがにジングルベルは芸風が違いすぎて入れていないようですが、美川憲一さんのクリスマスアルバムなんてのもあったようです。彼の「ホワイト・クリスマス」ちょっと聴いてみたい気もする...)。

そのあたりのある種不思議な時代を今に伝えるCDが今年出ました。よくもまあこれだけ多彩なジングルベルが50〜60年代に生み出されたことか。橋幸夫の歌うジングルベルなんてのが聞けるとは私も思ってもみませんでした。トニー谷の「サンタクロース・I am 橇(ソリ-)」っていうのもフザケていて良いです(ちなみにこれもジングルベル)。和田弘とマヒナスターズや雪村いづみの本格的な歌唱も聴けて大変面白いです。
http://www.jvcmusic.co.jp/-/Discography/A010090/VICL-61535.html(試聴可。ぜひどうぞ)
このサイトに書かれているCDをプロデュースしたミュージシャン、パラダイス山元氏のコメントも興味深いです。日本の家庭に「クリスマス」がどのようにして定着していったのか?に思いを馳せるのに打ってつけのアルバムではないでしょうか?

面白いのは、最近は童謡や子供の向けのアルバムを除くと、ポピュラー系の歌手がこの曲を録音することがほとんどなくなっていること(私の知る限りでは天童よしみさん位でしょうか?これも凄い取り合わせですが)。クリスマスアルバムも自作のオリジナルで固めて、ある意味「ダサい」伝統的なクリスマスソングは歌わないということなのでしょうか。だとすると尚更、50〜70年代のジングルベル録音ラッシュとは何だったのか?どなたか社会学的に考察してみると面白いのではないでしょうか。
(2004.12.05)

東芝EMIからも昔の歌謡アーカイブとして、60年代のクリスマスソングを色々入れたアルバムが出ていたのを知り、聴いてみました。上で紹介したビクターのCDが割とアダルト系なのに対し、こちらは弘田三枝子や森山加代子・坂本九といったところが主体で当時のハイティーン向け路線の濃いコンピレーション。奥村チヨの歌うジングルベルも入っていて珍品度大です。
残念ながら(?)彼女の歌うジングルベルはデビューしたばかりの頃の録音、アイドル系のすがすがしい歌声のもので、その後「恋の奴隷」などのヒット曲で見せてくれた淫卑な世界を垣間見せてくれるものではありませんでしたが(何を期待しておったのだ)、この盤も収録曲27曲中なんと8曲がジングルベル。山下敬二郎の和製ロカビリー調のジングルベルは「僕とあのコの夢の夜を(渡舟人・詞)」と原詩のハイティーンの冬の楽しみを歌う精神には一番近いかも。弘田三枝子の必要以上にパンチの効いた歌や坂本九のにこやかな声で聴くジングルベルも面白いです(他にもお茶目な森山加代子・ファンキーな梅木マリバージョンなどのジングルベルも収録)。
ただこの盤で一番強烈だったのはジングルベルではなく、水原弘の歌う「ホワイトクリスマス」と「ブルー・クリスマス」。特に後者はどんよりとした孤独感がオリジナル以上に出ていてこのクラさはただ事ではありません。永六輔詞の「ホワイト・クリスマス」も、この歌に秘められた悲しいエピソードを感じさせるほの暗い味わいで一線を画しています。比較的若くして亡くなってしまった水原ですが、和製ブルースの名手としてその才能は稀有のものがあったのかも知れません。
この水原弘の歌、クリスマスイブの夜に世の中を呪いながらたったひとりで聴くには打ってつけの一品かと思いますが、あまり聴きすぎると体にこたえるかも...

( 2004.12.24 藤井宏行 )


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