水のゆくえ |
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木末のうそぶき 静かになりて 草葉のさゝやき 消えゆく夕べ しげみをぬひて 流るゝ水に うつれる星かげ 三つ四つ二つ やどれる光は よどむと見れど 流れて流れて たえせぬ水 あはれいかにか 思ひせまりて いずこのはてに 急ぎゆくらむ あはれ いずこのはてに |
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死の半年前、病を得て留学先のドイツから帰国した時に書かれた作品です。楽譜の一面に「不要 但し参考用」と書かれていることから完成作品と見なされなかったのかも知れません。ほとんど取り上げられることのない幻の作品となっております。また長らく作詞者は不詳だったようですが、2010年に作詞者が判明したという記事を、瀧の音楽を多面的に紹介されている「瀧 廉太郎の四季」サイトhttp://rentaro.blog.so-net.ne.jp/で取り上げておられました。その記事によれば、瀧の東京音楽学校の先輩で、当時講師としてピアノを指導していた国文学にも造詣の深い女性の詩なのだそうです。
( 2017.03.20 藤井宏行 )