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Widmung (an einen Herrscher,mit einer Auswahl von Gedichiten)   Op.62-1  
  Das Holdes Bescheiden
「献呈」〜詩集を付し、ある君主へ〜  
     歌曲集「善き慎み」

詩: メーリケ (Eduard Friedrich Mörike,1804-1875) ドイツ
    Gedichte  Widmung (Mit einer Auswahl von gedichten) [Die kleine Welt,mit deren Glanzgestalten]

曲: シェック (Othmar Schoeck,1886-1957) スイス   歌詞言語: ドイツ語


Die kleine Welt,mit deren Glanzgesalten
Der Dichter kämpft,bis ihren Überdrang
Er lieblich schlichtend in dem Liede zwang,
Sie will ihr buntes Bild vor Dir enfalten.

Getrau ich mich ein Auge festzuhalten,
Das,der Geschichte Sternenhöhn entlang,
Der Völker Heil bedeutend,hin sich schwang,
Von wo die vollen Sonnenkräfte Walten?

Zwar mag die Muse mit der Weisheit straiten,
Wer Mutter und wer Tochter sei von beiden,
Doch hat dies Paar mein leichtes Lied gesegnet?

Verstatte denn,dass nach des Tags Beschwerden
Ein flücht’ger Hauch aus jenen Wundergärten
Melodisch,kaum vernommen,dir begegnet!

輝かしい姿をした小さな世界
詩人は戦い、そこに突き進み
歌として美しく整え、治め
あなたの前に目もあやな絵画を広げるでしょう

わたしはしっかりと見つめます
星の高みの歴史とともにあり
人々の救いを示しつつ、自ずから響き渡る
完全なる太陽の力の支配する地からのものを

確かに詩神は知恵と争うかもしれません
どちらが母でどちらが娘かをめぐって
しかし二人は共に私にささやかな歌を恵むのではないでしょうか?

どうぞお許しください、一日の労苦の後に
あの奇跡の庭からの束の間の息吹が
かすかな、快い響きとなって、あなたの前に生じますことを!

シェックのメーリケ歌曲集『善き慎み』の冒頭に置かれた詩。これはメーリケの「詩集」には含まれず、独インゼル社の全詩集で補遺に収められているもので、メーリケが時の為政者フリードリヒ・ヴィルヘルムW世に宛てた、詩の形式で書かれた献呈文です。中嶋忠宏氏によればその個人名を外して「ある君主」としたのは作曲者シェックとのことです(ただし私の手持ちの独インゼル社の全詩集では” Mit einer Auswahl von Gedichiten”とあるだけです)。
 これは既訳がほとんど無く、意味も取りがたくて苦労しました。誤りなどありましたらご指摘頂ければ幸いです。シェックの詩は大歌曲集の序奏につけられたアダージョといった風情。演奏は、白井さんが文句なしの名唱です(クラーヴェス)。

( 2004.12.02 甲斐貴也 )


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