Serenade für meine Frau Neljä serenadia |
妻へのセレナーデ 4つのセレナーデ |
Es lacht in dem steigenden Jahr dir der Duft aus dem Garten noch leis, flicht in dem flatternden Haar dir, Eppich und Ehrenpreis. Die wehende Saat ist wie Gold noch, vielleicht nicht so hoch mehr und reich. Rosen begrüßen dich hold noch, ward auch ihr Glanz etwas bleich. Verschweigen wir was uns verwehrt ist, geloben wir glücklich zu sein, wenn auch nicht mehr uns beschert ist, als noch ein Rundgang zu zwei’n. |
ほほ笑んでいるのだ 時を経てもお前に 庭からの香りがなおも優しく 飛び込んで来るのだ お前のなびく髪に ツタやクワガタソウが 波立つ小麦畑はなお黄金のようだ おそらくはそれほど貴重でも豊かでもないが バラたちも挨拶する お前に優しく その輝きはほんの少し衰えてはいるが 気にしないでいよう 私たちにどうしようもないことは 考えていよう 幸せになることだけを もうこれ以上私たちに何も与えられなくても それでも二人では歩みゆくのだから |
ドイツのシュテファン・ゲオルゲの詩から1つ、フランスのボードレールから1つ、そして作曲者の故国フィンランドの伝承詩カンテレタルから2つの詩を集めてきてアカペラの男声合唱曲としています。言葉が各曲で違うのは歌う方はたいへんでしょう。でも曲想が多彩で聴いていてとても面白い曲集です。いずれの詩もセレナーデというわけでもなく、セレナーデというタイトルも原詩についているわけではないのですが、こうやって集められてみると何となく説得力はあります。
第1曲目のゲオルゲの詩、この人がこんな愛情あふれる妻への歌を書いているとは思いませんでした。研ぎ澄まされた言葉を普段使っているこの人にしてはちょっと月並みな内容のような気もしなくはありませんが、こういうこともするんだということを知っただけでも有難いことです。ラウタヴァーラの曲もしみじみとしてにじみ出てくる愛情表現が見事でした。
( 2017.02.12 藤井宏行 )