福島夜曲(せれなあで) |
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遠い山河たづねて来たに 吾妻しぐれて見えもせず 吾妻山かと窓あけたもの 山は歩いて来ないもの 吾妻山みちうつむきがちに 誰か会津に越えたやら 吾妻山みち会津は遠い 解かざなるまい靴のひも 何がやさしい小川がやさし 道により添いゆく川が みちはみちのくあけびのつるは ひけばひかれて鳴るほどに 思ひの瀧をばまいらせかしく とかく文字摺みだれがち 奥の細道とぼとぼゆきゃる 芭蕉様かよ日の暮れに 会津磐梯山がほのぼの見ゆる 心細さに立つ煙か 昨日得度の青道心か 霊山深山の榧の実か 川をへだてた弁天山の 松にことづてしてたもれ 信夫お山におびときかけりゃ 松葉ちらしの伊達模様 |
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福島出身の作曲家古関のデビュー作のひとつ、昭和6年にこれもまた福島ゆかりの作詞家・野村俊夫との共作「福島行進曲」のB面としてリリースされました。それを遡る2年前の昭和4年、福島で竹久夢二展を訪れた古関がこの詩に感銘を受けて一気に作曲したものです。原詩は12節からなりますが、歌われたのは1、11、12節の3つだけのようです。藍川由美さんの古関裕而歌曲集では12節全部が歌われていますのでここでは全部取り上げました。
( 2017.01.23 藤井宏行 )