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AVAK the HEALER   Op.64  
 
AVAK the HEALER  
    

詩: ホヴァネス (Alan Hovhaness,1911-2000) アメリカ
      

曲: ホヴァネス (Alan Hovhaness,1911-2000) アメリカ   歌詞言語: 英語


詩:著作権のため掲載できません。ご了承ください


治癒者アヴァク

序曲
夜明け
彼は鐘を鳴らす
行進
神秘
彼は壊れた心に触れる

マーニ・ニクソン(Sop)
エルンスト・ゴールド指揮クリスタル室内管
トマス・スティーブンス(Tp)
       クリスタルレコード

アメリカの作曲家アラン・ホヴァネスは、生涯に400曲以上の作品を書いた物凄い人(交響曲だけでも60数曲はある)ですが、クラシック音楽至上主義の人に言わせると「深みがない」「くだらない」の一言で切って捨てられてしまうのか、本国のアメリカ以外ではあまり評価されずに終わってしまった人のように思います。確かにほとんど濫造とさえいえるその作品のすべてがワンパターンに聴こえるといえばそうかも知れないのですが、もし彼がクラシックでなく環境音楽やヒーリングミュージックの分野で紹介されていればもっともっと高い評価を受けていたのではないか?と私なぞは思います。彼の父の故郷であるアルメニアを始めとする東洋の民族音楽や、アイリッシュ、ケルト(確か彼の母はスコットランド系だったかと?)のやすらぎに満ちたメロディが、オーケストラの美しい響きに乗せて淡々と奏でられるのは、疲れているときなどにぼんやりと耳にする分にはとても良い音楽。私も積極的にコレクションしている訳ではないですが、アメリカ音楽を探訪する中で自然と集まってきた録音は時折聴いています。

さて、そんな彼の書いたソプラノとトランペットソロに管弦楽の伴奏のついたその名もずばりのヒーリングミュージック「Avak the Healer」も、穏やかな表情と美しいメロディで、強烈な印象こそ残さないものの、ゆったりしたいときに聴くのには打ってつけの作品です。トランペットのソロとソプラノの掛け合いってなんて美しいのだろう、としみじみ感動です。せわしない世の中、口角泡を立ててベートーヴェンの第九交響曲などの「究極の名盤」とやらを議論したり、宗教的感動?を求めてバッハのミサ曲を聴くばかりが音楽の楽しみ方ではないはずなので、こういった環境音楽的なスタンス、もっとプロモートされても良いように思います。

「リラクセーション・クラシック」とかいって既にプロモートされていますって?
面白いのは多くのクラシック音楽ファンは音楽に上のようにもっと別のものを求めていて、普段クラシックなどあまり聴かない層がクラシックにこういった効用を求めているように思えることです。ですからそこで安易にクラシックの通俗名曲を紹介するよりも、クラシック音楽でもこんな音楽をもっと発掘してきた方が環境音楽の世界ももっと充実すると思うのですが...

と脱線はさておき、Avakというのはアルメニア語でNo.1という意味なのだそうで、ファーストネームとしてもよく用いられるようです。調べてみたら”AVAK the HEALER”というのは1940年ころ実在した民間療法の推進者(日本でいうとタカツカヒカルさんみたいな人か?皆さん覚えてますか?)、そのAvakのことを歌ったのかどうかは定かではありませんが、この曲も作曲されたのが1946年だそうなので、もしそうだとするとこの曲、「ハンドパワー賛歌」みたいなカンタータな可能性もあり、そのカルトっぽさが非常に興味をそそります。

しかしもっと興味深いのは、この曲でソロを歌っているマーニ・ニクソン、確かどこかで目にしたことのある人だと思って調べてみると、この人、ミュージカルの世界でとんでもない活躍をしていた人でありました。
映画「王様と私」1956ではデボラ・カーの演じたアンナの、「ウエストサイドストーリー」1961ではナタリー・ウッド演じるマリアの、そして「マイフェア・レディー」1964ではあのオードリー・ヘップバーンの演じた主役の花売り娘イライザの歌をみな吹き替えた歌手なのです。
映画の中で姿をみることができるのは「サウンド・オブ・ミュージック」の中で、主人公マリアを支える修道女のひとりシスター・ソフィアを演じています。いわばミュージカル映画の影武者、声の大スターなのですね。

ところが一方でこの人、クラシック音楽の分野でもロバート・クラフトといれたバッハやモンテヴェルディの宗教曲はあるは、ウェーベルンの歌曲集の録音はあるは、バーンスタイン指揮ニューヨークフィルの公演でピエール・ブーレーズの難曲「プリ・スロン・プリ」を歌っているはとこちらでもまあ凄い活躍なのでした。それだけの歌唱力があったからこそ、ミュージカルの世界でもあれだけの活躍ができた、ということもあるのでしょう。
日本ではミュージカルとオペラ・オペレッタの世界、やる方も見る方も何だか厳然とした区分があるようにも思えますが、アメリカ人にとってみればミュージカルも自分たちの重要な文化遺産、クラシック畑に分類される歌手の人でもとても素敵なミュージカルの歌唱を聞かせてくれる人がたくさんいますよね。そんな訳でこれからマーニの歌った歌、小特集です。くしくも1950年代の傑作ミュージカルを書いた3人の作家が並びました。

ステキじゃない? (フレデリック・ロウ)〜マイ・フェア・レディより
I feel pretty (レナード・バーンスタイン)〜ウエスト・サイド・ストーリーより
Shall we dance? (リチャード・ロジャース)〜王様と私より

( 2004.11.14 藤井宏行 )


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