雲雀 |
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雲居をめがけて とびゆく一騎 剣(つるぎ)の光か 兜の星か 朝日にきらめく あゝその姿 陽炎 稲妻 目にもとまらず あぐるや かちどき 天地(あめつち)どよむ 大千(だいせん)世界は 汝(な)が知るところ 高きにあこがれ 想いは遠く 下界にもたらす み空の不思議 尊き飛躍は 汝が手にあるか |
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藤井清水最晩年の作品。戦時中ということもありずいぶん長いこと埋もれていたようで、初演はなんと平成6年、この曲の見事な録音を残している関定子さんによるのだそうです。ヒバリの鳴き声を模したピアノの鮮烈な響きに続いて結構欧風のメロディが始まります。日本情緒纏綿というイメージの強かった藤井の作品にしてはかなり異色のものでしょう。歌詞もブラウニングあたりを意識したような英詩にありそうな雰囲気ですし。
( 2017.01.21 藤井宏行 )