La Musique |
音楽 |
La musique souvent me prend comme une mer! Vers ma pâle étoile, Sous un plafond de brume ou dans un vaste éther, Je mets à la voile; La poitrine en avant et les poumons gonflés Comme de la toile, J'escalade le dos des flots amoncelés Que la nuit me voile; Je sens vibrer en moi toutes les passions D'un vaisseau qui souffre; Le bon vent,la tempête et ses convulsions Sur l'immense gouffre Me bercent. D'autres fois,calme plat,grand miroir De mon désespoir! |
音楽はしばしば私を捕える まるで海のように! 私の青白い星に向かって 霧の天上の下や あるいは広大な大気の中 私は帆を上げる 胸を突き出し 肺を膨らませる まるで帆のように 私はよじ登る 大波が積み重なった背を 夜が私をヴェールに包む時 私は震えを感じる 自分の中にあらゆる情熱の 悩み苦しむ船たちの 順風や嵐 そしてその振動を 計り知れない深淵の上に 私を揺する 別の時には 穏やかな凪 巨大な鏡面だ わが絶望の! |
ボードレールの「悪の華 Fleurs du mal」が書かれた1857年からちょうど150年が経った2007年にそれを記念して書かれた無伴奏の独唱曲です。驚くべきことに当時カーターはもう100歳になろうかという時期、にも関わらずこの曲に限らず色々な作品をまだ生み出していたのでした。
この詩、タイトルが「音楽」ですし、色々な人がメロディをつけているかと思ったのですが意外と世に知られた作品はないようです。カーターのものも前衛的な作風でならした人のためか決して耳に優しいメロディラインではなく、あまり取り上げられることは多くはありません。
( 2017.01.15 藤井宏行 )