四丁目の犬 |
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一丁目の子供 駈け駈け 歸れ 二丁目の子供 泣き泣き 逃げた 四丁目の犬は 足長犬だ 三丁目の角に こっち向ひてゐたぞ |
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たいへん短い歌ですが、なんとも不思議な情景を描き出しています。断片的な記述なので色々な解釈があるようですが、国文学者の金田一春彦の解釈がとても興味深いのでご紹介します(童謡・唱歌の世界 講談社学術文庫 第4章より)。
金田一はこの1〜4丁目は雨情が中学時代に長く過ごした東京は文京区の本郷なのだと言います。この本郷は1丁目〜3丁目は広い通りになっていて4丁目は歌にもある3丁目の角を曲がったところになるのだそうですが、その4丁目に当時は珍しい大型犬を飼っていた家があったのではないかと。夕方遅くまでこの本郷の大通りで遊びほうけていた子供達、4丁目のお屋敷から大きな犬がやってくるという声を聞いてわっと逃げ出します。本当に犬はやって来て、3丁目の角でこっちをにらみつけていたのか? 他愛もないお話ですがなぜか余韻を感じます。
本居の童謡の中でも比較的歌われている曲ではないかと思います。
( 2017.01.10 藤井宏行 )