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Wie soll ich fröhlich sein und lachen gar    
  Italienisches Liederbuch
どうして陽気でいられるもんか、まして笑うことなんて  
     イタリア歌曲集

詩: ハイゼ (Paul Heyse,1830-1914) ドイツ
    Italienisches Liederbuch-Rispetti 96 Wie soll ich fröhlich sein und lachen gar 原詩:イタリア詞

曲: ヴォルフ (Hugo Wolf,1860-1903) オーストリア   歌詞言語: ドイツ語


Wie soll ich fröhlich sein und lachen gar,
Da du mir immer zürnest unverhohlen?
Du kommst nur Einmal alle hundert Jahr,
Und dann,als hätte man dir's anbefohlen.
Was kommst du,wenn's die Deinen ungern sehn?
Gib frei mein Herz,dann magst du weitergehn.
Daheim mit deinen Leuten leb' in Frieden,
Denn was der Himmel will,geschieht hinieden.
Halt Frieden mit den Deinigen zu Haus,
Denn was der Himmel will,das bleibt nicht aus.

どうして陽気でいられるもんか、まして笑うことなんて、
おまえがずっと怒りを顕わにしているっていうのに。
おまえが来てくれるのは百年にたった一度だけ、
しかも言われてしぶしぶという感じだ。
おまえの家族が嫌がっているのなら、なんで来るんだよ。
俺の心をもう解いてくれ、そうしたらおまえは家族とずっといるがいい。
お家で家族と仲良くやんな。
だって天の望んだことは、この世でその通りになるんだから。
家族とお家で仲良くしてろ。
だって天の望んだことは、必ずそうなるんだから。

第20曲では自分の母親が交際を反対し涙にくれ、第21曲では相手の母親が反対していても無視して私の許に来てと懇願していたが、この詩では相手の家族がいい顔をしないのならどうぞご自由にと一見余裕の表情を見せる。前曲の詩といい、この詩といい、自分は平然とした風を装い、諦念すら漂わせているが、実際の心の中に渦巻く動揺をヴォルフは見逃さず、激しくえぐり出してみせた。男声と女声、どちらにも歌われるので、どちらが担当するか演奏者の解釈次第となる。

ベーア&ドイチュ:怒りの感情が巧みな語り口で歌われ、ベーアの言葉さばきの見事さに引き込まれる。
F=ディースカウ&デームス:一言一言が生き生きとしていて、さすがのうまさだ。
アーメリング&ゲイジ:細かい心情の機微がよく伝わる。ゲイジも前面で雄弁に主張している。
エルツェ&ヤンセン:ヤンセンは重量感があり、胸に迫ってくる。エルツェは素直な美声だが、もう一つ声の色が欲しいところ。
シュライアー&エンゲル:歌もいいが、後奏を弾くエンゲルの爆発がすごい。

( 2004.10.24 フランツ・ペーター )


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