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　数え切れないほどの歌手や演奏家が取り上げている大変に美しいスタンダードですが、元は忘れらたＢ級ホラー映画『呪いの家』（1944年）のテーマ・ソングで、しかもなんと、歌詞の中で美しさを讃えられているステラなる女性はストーリーの中で殺されてしまうのだそうです。
　そんな怪しい出生の秘密（？）はさて置き、この詩にもクラシック・ファンの目を引くところがあります。ステラの美しさの形容のひとつに”A great symphonic theme”という言葉が使われているのです。「偉大な交響的主題」、それはおそらく優れた交響曲の主題ということと思いますが、作詞者の念頭にあったのはどんな作品だったのでしょうか。
　コール・ポーターの「ユー・アー・ザ・トップ」の方に書いたような手がかりは思いつかないので、ここは勝手に自分のイメージを考えてみましょう。古いところではシューベルトの未完成などいい感じと思いますが、マーラーの第6番の第1楽章第2主題、作曲者が妻アルマを描いたと言う主題などは正にそれですね。しかしこれを選んではまたアルマが増長しそうですので（笑）、私的にはラフマニノフの第2番のアダージョの主題としたいと思います。
　演奏は若き日のシナトラ（コロムビア）、ジョニー・ハートマン（ベスレヘム）。ラフマニノフの2番はプレヴィンのエンジェル盤が好きです（笑）。

( 2004.10.18 甲斐貴也 ）