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初春はつはる    
 
 
    

詩: 与謝野晶子 (Yosano Akiko,1878-1942) 日本
      初春

曲: 林光 (Hayashi Hikaru,1931-2012) 日本   歌詞言語: 日本語


ひがむ気短きみじかな鵯鳥ひよどり
木末こずゑの雪を揺りこぼし、
枝から枝へ、甲高かんだか
てつく冬の笛を吹く。
それを聞くわたしの心も裂けるよに。
それでも木蔭こかげ下枝しづえには
あれ、もう、愛らしいうぐひす
雪解ゆきげの水のながれに
軽くそり打つ身を映し、
ちちとく、ちちとく。
その小啼ささなきは低くても、
春ですわね、春ですわね。



林が住んでいた世田谷の街で続けられていた「世田谷うたの広場」のため、彼は多くのソングを書きましたがこれもその中のひとつ。2010年の作曲といいますからほとんど彼の最後の作品となります。シンコペーテッドするピアノはまるでアイヴズやカーターの書くアメリカ歌曲のような味わい。エリオット・カーターの名歌曲「 Dust of Snow 雪のひとひら」を思わせる清新な歌です。与謝野の饒舌な言葉を見事に音楽にしたとても素敵な「うた」。佐山真知子さんの澄んだ素敵な歌声がこの曲想にはぴったりです(ALM)

( 2017.01.01 藤井宏行 )


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