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初夏はつなつ    
 
 
    

詩: 与謝野晶子 (Yosano Akiko,1878-1942) 日本
      初夏

曲: 林光 (Hayashi Hikaru,1931-2012) 日本   歌詞言語: 日本語


初夏はつなつが来た、初夏はつなつ
髪をきれいにき分けた
十六七の美少年。
さくら色した肉附にくづきに、
ようも似合うた詰襟つめえり
みどりの上衣うはぎ、しろづぼん。

初夏はつなつが来た、初夏はつなつ
青いほのほき立たす
南の海の精であろ。
きやしやな前歯に麦の茎
ちよいとみ切り吹く笛も
つつみがたない火の調子。

初夏はつなつが来た、初夏はつなつ
ほそいづぼんに、赤い靴、
つゑを振り振り駆けて来た。
そよろとにほ追風おひかぜに、
枳殻きこくの若芽、けしの花、
青梅あをうめの実も身をゆする。

初夏はつなつが来た、初夏はつなつ
五行ばかりの新しい
恋の小唄こうたをくちずさみ、
女の呼吸いきのする窓へ、
物を思へど、蒼白あをじろ
百合ゆり陰翳かげをば投げに来た。



5月半ば頃の情景でしょうか。与謝野晶子の艶めかしくも饒舌な詩に乗せて沖縄民謡のようなちょっとエキゾチックな、そしてユーモラスな歌が流れて行きます。与謝野の詩につけた歌の中では一番古く1999年の作です。

( 2017.01.01 藤井宏行 )


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