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Mollie Darling    
 
いとしのモーリー(モリー ダーリン)  
    

詩: ヘイス (William Shakespeare Hays,1837-1907) アメリカ
      

曲: ヘイス (William Shakespeare Hays,1837-1907) アメリカ   歌詞言語: 英語


Won't you tell me Mollie darling,
That you love none else but me?
For I love you Mollie darling,
You are all the world to me.
O! tell me, darling, that you love me,
Put you little hand in mine,
Take my heart, sweet Mollie darling,
Say that you will give me thine.

(CHORUS)
Mollie, fairest, sweetest, dearest,
Look up, darling, tell me this;
Do you love me, Mollie darling?
Let you answer be a kiss.


Stars are smilling, Mollie darling,
Thro' the mystic vail of night;
They seem laughing, Mollie darling,
While fair Luna hides her light;
O! no one listens but the flowers,
While they hang their heads in shame.
They are modest, Mollie darling,
When they hear me call your name.

(CHORUS)


I must leave you, Mollie darling,
Tho' the parting gives me pain;
When the stars shine, Mollie darling,
I will meet you here again.
O! goodnight, Mollie, goodbye, loved one,
Happy may you ever be,
When you're dreaming, Mollie darling,
Don't forget to dream of me.

(CHORUS)

愛しいモーリー、言ってくれ
ぼくだけを愛していると
だってモーリー、ぼくは君だけを愛しているんだから
君はぼくの世界のすべてなんだ
おお、モーリー、愛していると言って
君のかわいい手をぼくの手の上に置いて
ぼくのハートを取って、愛しいモーリー
君のハートをぼくにくれると言ってよ

(コーラス)
モーリー、世界一きれいで、やさしくて、素敵な人
ぼくを見て、好きだと言って
ぼくを好きかい? 愛しいモーリー
答のかわりにキスしておくれ


星が輝いてるよ、愛しいモーリー
夜の不思議なヴェールの向こうで
星は微笑んでるよ、愛しいモーリー
明るい月が今は隠れているからね
おお、立ち聞きしてるのは花たちだけだ
でもその花も恥ずかしがって顔を伏せている
つつましい花たちだよ、愛しいモーリー
ぼくが君の名を呼ぶのを聞いている

(コーラス・同上)


そろそろ行かなきゃ、愛しいモーリー
お別れするのはつらいけれど
また星の輝くときになれば、愛しいモーリー
君とまたここで会えるよ
おお、おやすみ、モーリー、さよなら愛しい人
いつも幸せでいてね
そして夢を見るときには、愛しいモーリー
ぼくの夢をみるのを忘れないでね

(コーラス・同上)

1872年のアメリカの大ヒットソング、歌詞だけ見ているとエルヴィス・プレスリーあたりが歌っていても違和感のないような歌です。が、この曲、日本では全然別の歌詞が付けられて実は広く知られている歌なのです。
私も初めてこの曲をオリジナルで聴いたときにはぶっとんだのですが、「木枯らしとだえて、さゆる空より」(堀内敬三詞)の「冬の星座」。よく賛美歌が元の「星の界(ほしのよ)」と取り違えられるほど清楚で敬虔な感じのするこの歌が、実はこんなラブソングだったとは...
例えていえば、ポール・アンカの大ヒット曲「ダイアナ」のメロディをもとに「ああー、きれいーな なのはなー」とかいう歌詞を付けた「菜の花のうた」みたいなのを作って幼稚園で歌っているようなこのものすごい違和感。こういうことをやろうと発想した昔の音楽教育関係者に脱帽です。
堀内敬三版「冬の星座」は昭和22年の教科書に初めて載ったのだそうですが、それ以前も中村秋香というひとの「他郷の月」というタイトルで歌われていたのだそうで、まさに筋金入りの替え歌...

作曲者のヘイスは日本では他にも「幾年 ふるさと 来てみれば」の歌詞で歌われる「故郷の廃家」(こちらの原詞はこれほどぶっとんでは違いません。ちなみに原題は My dear old sunny home(1871))などで知られる人で300曲以上のヒットソングを書いた売れっ子ソングライターだったのだそうです。歌のスタイルとしては同時代のフォスターによく似ていると言えましょうか?
この曲でもそうですがソロとコーラスで歌われるものが多いです。
で、そのコーラスですが、「冬の星座」では省略されて聴くことができないのですが、アメリカの著作権切れの歌を集めて紹介しているこのサイトで、MIDIで聞くことができました。
http://www.pdmusic.org/hays.html
(このページで”Mollie Darling” (1872)をクリックしてみてください)

な、なんと、本当にプレスリーのソロヴォーカルのバックコーラスのようなメロディ、「冬の星座」のムードには全然似合いませんのでカットされたのも分かりますが、この歌詞をなぞりながらMIDIの音楽を聴いていると実に面白い。
みなさんもメロディに合わせて「ウォンチュ テルミー モーリー ダーリン」と口ずさんでみては?
できればフォスターの「おお、スザンナ」みたいにリズミカルに。たぶんこれが本来のこの歌のスタイルであった、と私は思います。

「モリー・ダーリン」としてはカントリー&ウエスタンの世界ではいまだに歌われているようで、有名なシンガーの録音で入手が容易なものとしてはエディ・アーノルドのものがあります。それと今回ネット検索してびっくりしたのが、小林旭の歌う「アキラのウエスターン」という1961年のアルバムに水島哲の作詞で収録されていること。ただこちらは「おやすみ、モーリーちゃん」というようなメロメロの詞ではなくて、かっこいい西部の男の口ずさむ鼻歌という感じの歌詞のようです。あの絶妙のハイトーンで歌われるカントリーミュージック、これはぜひ聴いてみたいものですね。甲斐さんが今回紹介されているヴィクター・ヤングの映画音楽の傑作「シェーン」のテーマ「遥かなる山の呼び声」などもあり、どんな歌になっているのか興味津々です。

( 2004.10.19 藤井宏行 )


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