Nachtzauber Gedichite von Eichendorff für eine Singstime und Klavier |
夜の魔法 アイヒェンドルフ歌曲集 |
Hörst du nicht die Quellen gehen zwischen Stein und Blumen weit nach den stillen Waldesseen, wo die Marmorbilder stehen in der schönen Einsamkeit? Von den Bergen sacht hernieder, weckend die uralten Lieder, steigt die wunderbare Nacht, und die Gründe glänzen wieder, wie du's oft im Traum gedacht, wie du's oft im Traum gedacht. Kennst die Blume du,entsprossen in dem mondbeglänzten Grund? Aus der Knospe,halb erschlossen, junge Glieder blühend sprossen, weiße Arme,roter Mund, und die Nachtigallen schlagen und rings hebt es an zu klagen, ach,vor Liebe todeswund, von versunk'nen schönen Tagen - komm,o komm zum stillen Grund! komm! komm! |
あの泉のせせらぎが聞こえないかい? 遥か遠くの石や花の間を通り 大理石の像の立ち並ぶ 美しく寂しいところにある 静かな森の湖に向かうせせらぎが。 山々から静かに降り立ち 太古の歌を呼び覚ます 不思議な夜のとばり そしてこの地は再び光を放つ 君が何度も夢見ていたように、 君が何度も夢見ていたように。 月明かりに照らされた地で 芽生えるあの花を知っているかい? まだ半ば閉じたつぼみから 若々しい肢体が萌え出る 白い腕、赤い唇 そしてナイチンゲールがさえずると あたりに嘆きが高まる ああ、愛に受けた死ぬほどの傷 遥か昔に消え去った美しい日々・・・ 来たまえ、おお、来たまえ、この静かな地に! 来たまえ! 来たまえ! |
どこかゲーテの「君よ知るや南の国」を思わせるこの詩にはヴォルフが作曲しているほか、マックス・レーガーが純粋器楽の管弦楽曲を作曲しています(「ロマンティック組曲」第一曲)。レーガーはこの詩の自然抒情詩的なファンタジーに主眼を置いており、美しく神秘的な響きの作品に仕上げていますが、ヴォルフは、最後の3行に主眼を置いているようで、美しい言葉を並べたたて恋人を口説こうとする若者の歌といった、どことなくユーモラスな風情です。演奏はフィッシャー=ディースカウ、プライ、スコウフスなど。
( 2004.09.09 甲斐貴也 )
叙事詩『ユリアン』Versepos”Julian”(1852年)の挿入詩(無題)で、”Nachtzauber”というタイトルは詩人の没後にその伝記を編纂した息子のヘルマン・アイヒェンドルフによってつけられたものと推定されています。第一連最終行の繰り返しと第二連最後の”Komm! Komm!”はヴォルフによる付加のようです。今回ヴォルフの楽譜に印刷された通りの形に改めました。その後さらに多くの演奏を聴き比べましたが、プライのようなロマンティックな歌よりも、フィッシャー=ディースカウの精緻な歌唱の方が、この詩と音楽が醸し出す夜の神秘を更に巧みに表現しているように思いました。
( 2005.11.05 甲斐貴也 )