The phantom Op.15-4 Earth and Air and Rain |
亡霊 大地と大気そして雨 |
Queer are the ways of a man I know: He comes and stands In a careworn craze, And looks at the sands And the seaward haze With moveless hands And face and gaze, Then turns to go... And what does he see when he gazes so? They say he sees as an instant thing More clear than to-day, A sweet soft scene That once was in play By that briny green; Yes,notes alway Warm,real,and keen, What his back years bring - A phantom of his own figuring. Of this vision of his they might say more: Not only there Does he see this sight, But everywhere In his brain - day,night, As if on the air It were drawn rose bright - Yea,far from that shore Does he carry this vision of heretofore: A ghost-girl-rider. And though,toil-tried, He withers daily, Time touches her not, But she still rides gaily In his rapt thought On that shagged and shaly Atlantic spot, And as when first eyed Draws rein and sings to the swing of the tide. |
奇妙なのだ 私の知るあの男の様子は: 彼はやって来ては立ち尽くし 悩み疲れた狂乱に そして見ているのだ 砂浜や 海へと向かう靄を 動かすことなく 手や 顔を そしてじっと見ている それから振り返り 去って行こうとする... 何を一体彼は眺め 見つめているのだ? 人が言うには 彼は見ているのは一瞬のこと 今日のことよりもずっと鮮明に とある甘いやさしい情景のことだと かつてそれは演じられたのだ あの塩辛い緑色のほとりで そうだ いつも心に留めている 暖かく 真実で 尖鋭なもの 彼の過去の年月がもたらすもの - 彼自身の作り出すひとつの幻影を 彼のこの幻影について 人はさらに言うかも知れない: そこだけではないぞ 彼が情景を見つめているのは? あらゆるところ 彼の脳みその中 - 昼も 夜も あたかも空気の上に それはバラ色に輝かしく描かれているかのように - そう あの海岸から遠く離れても 彼は持ち歩いているのだ このかつての幻影を? それは馬に乗っている亡霊の娘 そしてやつれ果てて 彼は日に日に弱って行くが 時が彼女に触れることはなく 彼女はなお楽しげに馬に乗っているのだ 彼の熱烈な思いの中では 灌木が生い茂る 頁岩の 大西洋の岸辺で 初めて彼が出会った時のように 手綱を引き 潮の揺れに合わせて歌う姿を |
亡霊に憑りつかれているというよりは、若き頃の幻影を回顧しているかのような男の姿。音楽もほんのりと温かく そして優しいです。力強い推進力と共に美しい大西洋岸の情景を紡ぎ出して行きます。
( 2016.12.03 藤井宏行 )