Summer schemes Op.15-1 Earth and Air and Rain |
夏の計画 大地と大気そして雨 |
When friendly summer calls again, Calls again Her little fifers to these hills, We'll go - we two - to that arched fane Of leafage where they prime their bills Before they start to flood the plain With quavers,,minims,shakes,and trills. '- We'll go',I sing; but who shall say What may not chance before that day! And we shall see the waters spring, Waters spring From chinks the scrubby copses crown; And we shall trace their oncreeping To where the cascade tumbles down And sends the bobbing growths aswing, And ferns not quite but almost drown. '- We shall',I say; but who may sing Of what another moon will bring! |
親しげな夏がもう一度呼び出す時に もう一度呼び出す時に 夏の小さな笛吹き鳥たちを この丘の上に ぼくらは行こう 二人して あのアーチ型の神殿に 木の葉でできた そこに鳥たちはくちばしを準備する 彼らが野原を洪水させ始める前に 八分音符や二分音符 震え声やトリルで − 「ぼくらは行こう」 ぼくは歌う だけど誰に言えるだろうか 何が起こるかなんて その日の前に! そしてぼくらは見よう 水が湧き出すのを 水が湧き出すのを 低木の林に覆われた裂け目から そしてぼくらは追いかけよう 水の這って行く先を 滝となって転げ落ちるところまで そして房となった茂みを揺らし そしてシダをほとんど溺れんばかりにしているところまで − 「ぼくらはしてみよう」ぼくは言う だけど誰が歌えるだろう 今度の月がもたらすものを! |
寡作家のフィンジには作品の比率からすると少なからぬ数の歌曲作品がありますが、その中でも偏愛しているのはトマス・ハーディの詩、いくつも歌曲集にしています。その中でも一番重要なのはこのOp.15 Earth and Air and Rainでしょう。
第1曲目は浮き立つような夏の そして夏の恋への期待、しかしどこか諦観を感じさせるのがハーディの、そしてフィンジの持ち味です。イギリス民謡風でありながらどこか醒めているところが面白い歌です。
( 2016.11.13 藤井宏行 )