Die Zeitlose Op.10-7 TrV 141 Acht Gedichte aus “Letzte Blätter” |
イヌサフラン 「最後の葉」からの8つの詩 |
Auf frisch gemähtem Weideplatz steht einsam die Zeitlose, den Leib von einer Lilie, die Farb' von einer Rose; doch es ist Gift,was aus dem Kelch, dem reinen,blinkt so rötlich - die letzte Blum',die letzte Lieb' sind beide schön,doch tödlich. |
刈られたばかりの放牧地に イヌサフランが独り咲く その姿は百合に似て その色は薔薇に似る だが穢れなく鮮やかな その赤いうてなは毒を持つ 季節の最後の花、人生の最後の愛 それは美しいが時に命を取る |
ヘルダーリンの「希望に寄せる」で出てきた「イヌサフラン」の詩の歌曲です。この植物にはコルチカムという別名があり、「犬サフラン」の語感を嫌ってかこちらの方が園芸関係では使われているようです。この植物は内臓を壊死させるという猛毒コルヒチンを持っており、わが国でも死亡例があるということです。ヘルダーリンの訳詩では独名から「時無し花」にしましたが、こちらでは和名を用いました。何となく「サフランに似て実は毒草」というイメージがあるように思いまして。
シュトラウスの作曲は、「献呈」「万霊節」「夜」などを含む最初期の傑作歌曲集作品8に収められていますが、曲集中では地味な作品で歌詞の扱いもやや常識的です。演奏はボニー、ポップ、白井さんなど。
( 2004.09.05 甲斐貴也 )