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Schon streckt' ich aus im Bett die müden Glieder    
  Italienisches Liederbuch
ベッドの中でへとへとの体を大きく伸ばしているというのに  
     イタリア歌曲集

詩: ハイゼ (Paul Heyse,1830-1914) ドイツ
    Italienisches Liederbuch-Rispetti 133 Schon streckt' ich aus im Bett die müden Glieder 原詩:イタリア詞

曲: ヴォルフ (Hugo Wolf,1860-1903) オーストリア   歌詞言語: ドイツ語


Schon streckt' ich aus im Bett die müden Glieder,
Da tritt dein Bildnis vor mich hin,du Traute.
Gleich spring' ich auf,fahr' in die Schuhe wieder
Und wandre durch die Stadt mit meiner Laute.
Ich sing' und spiele,daß die Straße schallt;
So manche lauscht - vorüber bin ich bald.
So manches Mädchen hat mein Lied gerührt,
Indes der Wind schon Sang und Klang entführt.

ベッドの中でへとへとの体を大きく伸ばしているというのに、
君の姿が僕の目の前に浮かんできてどうしようもないんだよ、近しき人よ。
僕は、即刻跳ね起きると、急いでまた靴を履いて
街なかをリュートを持って練り歩くのだ。
僕は歌い、奏で、その音は通りに響き渡る。
かなりの人が耳をそばだててくれるが、僕はすぐに通り過ぎてしまう。
僕の歌に魅了される女の子も結構いるけれど、
風は僕の歌や響きをすぐにかき消してしまうのだ。


愛は疲労に勝るようだ。疲れて眠い筈なのに、寝ようとすると彼女の姿が頭から離れない。そこで、頭を冷やすために外に出て歌を流す。ゲーテの「鼠捕り」さながら、彼の歌に心を奪われてしまう人も多いが、恋人一筋の彼には他人の反応はどうでもよいのだ。
ヴォルフの曲は、1行目の疲労感を表すけだるい表現から、2行目のアルペッジョによる彼女の姿が脳裏に浮かぶ場面、そして3行目のさらに鋭いアルペッジョによるベッドから飛び起きる場面から、4行目以降のリュートを奏でながら街中をぶらついていくところまで、急速な展開を目に浮かぶような鮮明な音楽で表現していき、天才ぶりをまざまざと見せつけられているようだ。
彼は若い頃にアイヒェンドルフの詩による作品(「セレナード」「帰郷」など)でやはりリュートを奏でながら歌うという詩に挑戦していたが、初期の手法をさらに発展させているのは、彼の才能が決して擦り減っておらず、さらに向上している証であろう。

シュミット&ヤンセン:素直でストレートな魅力がある。ヤンセンは歯切れよいリズム感が印象的。
プライ&ヴァイセンボルン:声と表現の若さがプラスに働いている。
シュライアー&エンゲル:エンゲルの歌心に感動する。シュライアーは弱声の美しさで聴かせる。
F=ディースカウ&ムーア:うまさで、聴き手を納得させる。

( 2004.4.04 フランツ・ペーター )


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