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Ich ließ mir sagen und mir ward erzählt    
  Italienisches Liederbuch
私がしょっちゅう聞かされた噂では  
     イタリア歌曲集

詩: ハイゼ (Paul Heyse,1830-1914) ドイツ
    Italienisches Liederbuch-Velote 44 Ich ließ mir sagen und mir ward erzählt 原詩:イタリア詞

曲: ヴォルフ (Hugo Wolf,1860-1903) オーストリア   歌詞言語: ドイツ語


Ich ließ mir sagen und mir ward erzählt,
Der schöne Toni hungre sich zu Tode;
Seit ihn so überaus die Liebe quält,
Nimmt er auf einen Backzahn sieben Brote.
Nach Tisch,damit er die Verdauung stählt,
Verspeis't er eine Wurst und sieben Brote,
Und lindert nicht Tonina seine Pein,
Bricht nächstens Hungersnot und Teurung ein.

私がしょっちゅう聞かされた噂では、
あのイケメンのトーニーって死ぬほど腹ペコなんですって。
恋の病に苦しんでからというもの
一本の奥歯で七本ものパンを平らげてしまうの。
食後には、消化を助けるために
ソーセージ一本と七本のパンを平らげるのよ。
トニーナが彼の心の痛みを癒してあげないのなら、
近いうちに食糧難やら物価高騰やらが降りかかるでしょうね。


この詩の語り手はトーニーかトニーナの知人という設定で、男声、女声のどちらにも歌われる。
ヴォルフはピアノのトリルを使って、コミカルかつシニカルな内容を表そうとすることが多いが、特に空腹感を強くイメージしているようだ(同じく腹ペコの「羊飼い」が思い出される)。かなり大げさな噂話に深刻さを装った旋律が付けられて、皮肉屋ヴォルフの面目躍如というところだろう。

アーメリング&ゲイジ:重々しさの中にコミカルな表情を織り交ぜて、聴き応えあり。最終行のHungersnot(食糧難)の思い切った誇張表現が印象的。
ボニー&パーソンズ:彼女としてはかなり大胆な表情の変化を付けて、詩の仰々しい雰囲気を見事に伝えている。
男声ではシュライアー&エンゲルがなかなかいい。

( 2004.4.04 フランツ・ペーター )


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