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Mein Liebster hat zu Tische mich geladen    
  Italienisches Liederbuch
彼氏があたしを食事に招いてくれたの  
     イタリア歌曲集

詩: ハイゼ (Paul Heyse,1830-1914) ドイツ
    Italienisches Liederbuch-Velote 45 Mein Liebster hat zu Tische mich geladen 原詩:イタリア詞

曲: ヴォルフ (Hugo Wolf,1860-1903) オーストリア   歌詞言語: ドイツ語


Mein Liebster hat zu Tische mich geladen
Und hatte doch kein Haus mich zu empfangen,
Nicht Holz noch Herd zum Kochen und zum Braten,
Der Hafen auch war längst entzwei gegangen.
An einem Fäßchen Wein gebrach es auch,
Und Gläser hatt' er gar nicht im Gebrauch;
Der Tisch war schmal,das Tafeltuch nicht besser,
Das Brot steinhart und völlig stumpf das Messer.

彼氏があたしを食事に招いてくれたの、
でも、あたしを迎えてくれるお家なんか無いのにね。
煮炊きするたきぎやかまどだって無いし、
壺もとっくに真っ二つ。
小さな樽で寝かせたワインすらないのよ、
グラスだって全然ないし 使い物になる
テーブルなんて狭くて、テーブルクロスも全然イケテナイし、
パンは石みたいにカチカチだし、おまけにナイフの本当に切れないことといったら。


恋人が家に招待してくれたと喜んだのもつかの間、この女性、彼氏の家のあらさがしに夢中である。でも、この悪態は愛情の裏返しととれなくもない。
この人は私がいなければ何も出来ないのよという母性本能タイプの女性だろうか。
ヴォルフの曲は愛らしい小品に仕上がっているが、実に巧みに表情を盛り込み、まさに巨匠の作品である。ピアノはソステヌートペダルでも使わなければ無理な高低の幅広さが特徴的だが、和音を長く伸ばす高音部は、見せかけの平静さで、細かくリズムを刻む低音部は、ひた隠している心の鼓動を表しているかのようだ。最後が長和音で締めくくられているのは、この悪態が決して敵対関係によるものではないことを暗示しているのではないか。

マティス&エンゲル:2人とも、短い曲の中にドラマを盛り込み、さすがだ。
ベルガー&ヴァイセンボルン:練達のうまさで、年齢を忘れさせる若々しい歌を聴かせてくれる。

( 2004.4.04 フランツ・ペーター )


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