Ihr jungen Leute,die ihr zieht ins Feld Italienisches Liederbuch |
戦場に向かわれるお若い方々 イタリア歌曲集 |
Ihr jungen Leute,die ihr zieht ins Feld, Auf meinen Liebsten sollt ihr Achtung geben. Sorgt,daß er tapfer sich im Feuer hält; Er war noch nie im Kriege all sein Leben. Laßt nie ihn unter freiem Himmel schlafen; Er ist so zart,es möchte sich bestrafen. Laßt mir ihn ja nicht schlafen unterm Mond; Er ginge drauf,er ist's ja nicht gewohnt. |
戦場に向かわれるお若い方々、 どうか私の恋人に気をつけていてくださいな。 あの人が砲火の飛び交う中で毅然としていられるように気を遣ってくださいね、 だってあの人、これまで一度も出陣したことがないんですもの。 それからお外で寝かせたりしないであげてね、 だってあの人、とっても繊細なの、野宿なんてきっと身にこたえるでしょうから。 あの人が月灯りの下で眠らなくてもすむようにしてね、 そんなことしたら、あの人くたばっちゃうわ、だって慣れていないんですもの。 |
この詩では、か弱い恋人が戦地に赴くのをやや過保護な母性愛で見送る女性の不安な心情が、恋人の同僚の兵隊たちに語りかける形で歌われている。前曲といい、この曲といい、男性と女性のステレオタイプな性格描写と正反対な設定がされているのが面白い。不安な心情でありながら、どことなくコミカルな印象を与えているのをヴォルフも見逃さなかった。軍楽隊の響きで一貫しながら、歌声部は不安どころか、ユーモラスな明るさを響かせている。不安を隠した女性の強がりなのか、それとも本当に肝の据わった女性なのかは、演奏者の解釈次第だろう。
「スペイン歌曲集」の「出発のラッパが鳴っている」を思わせる内容ではあるが、そこでの悲壮感はこの詩には希薄である。
シュヴァルツコプフ&ムーア:6行目の「zart」(繊細な)や最終行に込められた表情の細やかさがすごい。特に若干の笑い声を混ぜた最終行は印象的。
ボニー&パーソンズ:豊かな声をコントロールして、いつもに増して細やかな情感が込められていて、魅力的だ。パーソンズもコミカルな中間部分など非常に上手い。
マティス&エンゲル:マティスの言葉への鋭敏な反応はさすがにオペラで鍛えた表現力だ。エンゲルはすみずみまでとにかく上手く、脱帽。
エルツェ&ヤンセン:癖のない澄んだ美声でまっすぐに歌い上げるが、彼女なりの表情づけも聴かれる。ヤンセンは軍楽隊の音をくっきりと雄弁に聴かせる。
ほかにツィーザク&アイゼンローアやアップショー&ドイチュも良かった。
( 2003.11.4 フランツ・ペーター )