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寄宿舎の古釣瓶    
 
 
    

詩: 小池友七 (Koike Tomohichi,-) 日本
      

曲: 小山作之助 (Koyama Sakunosuke,1863-1927) 日本   歌詞言語: 日本語


繩こそ朽ちたれ この古つるべ
  桶こそ痛めれ この古つるべ
学期試験の準備につとめし
  幾千(いくち)の学生が脳充血を
冷やして癒さん氷となりぬ
  彼等が事業(わざ)を助けん為に
雨の日雪の日つるべのなわの
  休まる時なく汲まれしつるべ
    屋根もる月こそ昔を知らめ

箍(たが)こそ撥ねたれ この古つるべ
  苔こそむしたれ この古つるべ
運動会の 競技にきおいし
  幾その侠児(チヤンピオン)が背中の汗を
洗いて落さん浴湯(あみゆ)となりぬ
  彼等が元気を回(かえ)さん為に
夏の日冬の日轆轤(ろくろ)の音の
  絶えにし暇なく汲まれしつるべ
    軒ふく風こそ昔を知らめ



言葉こそ古くなってしまいましたが、この曲なかなか素敵です。試験勉強とか運動会とか、今の学生たちにも共感できる内容を小山のユーモアあふれる音楽が優しく包み込んでいます。忘れ去られてしまうには惜しい歌だと私などは思いますけれども。

( 2016.10.23 藤井宏行 )


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