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Geselle,woll'n wir uns in Kutten hüllen    
  Italienisches Liederbuch
相棒よ、おれたちゃ修道服でもまとって  
     イタリア歌曲集

詩: ハイゼ (Paul Heyse,1830-1914) ドイツ
    Italienisches Liederbuch-Velote 16 Geselle,woll'n wir uns in Kutten hüllen 原詩:イタリア詞

曲: ヴォルフ (Hugo Wolf,1860-1903) オーストリア   歌詞言語: ドイツ語


Geselle,woll'n wir uns in Kutten hüllen,
Die Welt dem lassen,den sie mag ergötzen?
Dann pochen wir an Tür um Tür im stillen:
“Gebt einem armen Mönch um Jesu willen.”
 - O lieber Pater,du mußt später kommen,
Wenn aus dem Ofen wir das Brot genommen.
  O lieber Pater,komm nur später wieder,
Ein Töchterlein von mir liegt krank danieder.
 - Und ist sie krank,so lass't mich zu ihr gehen
Daß sie nicht etwa sterbe unversehen.
  Und ist sie krank,so lass't mich nach ihr schauen,
Daß sie mir ihre Beichte mag vertrauen.
  Schließt Tür und Fenster,daß uns keiner störe,
   Wenn ich des armen Kindes Beichte höre!

相棒よ、おれたちゃ修道服でもまとって、
俗世はお楽しみ中の奴にまかせておくというのはどうだ?
そして、こっそりと一軒ずつ回り、戸を叩いて一言、
「イエス様の為に哀れな坊主にお恵みを。」
 −ああ、神父様、後でいらしてくだされ、
そしたら、かまどから焼きたてのパンをお出しできるでしょう。
  ああ、神父様、もう少ししてからまたおいでくだされ、
あっしの可愛い娘が病の床に伏してるもんで。
  娘さんが病んでおられるのなら、わしをそこに通してもらおうか、
突然逝ってしまわないようにな。
  娘さんが病んでおられるのなら、わしに世話させてみるがいい、
わしにざんげしたいじゃろうからな。
  戸や窓はくれぐれも閉めておくように。誰にも邪魔されんようにな、
    可愛そうなその娘(こ)のざんげを聞く時に!


この詩では、出家した僧侶を装って、女性を口説こうという男の手の内が披露される。遊ぶためには先立つものをというわけか、軍資金調達に余念がないが、似非坊主のあやしさを察知したかのように人々は理由を付けて追い払おうとする。
しかし、さすがイタリア男、若い娘がいると聞くやいなや、口八丁手八丁でなんとか物にしようとする。そのコミカルなやりとり加減がこの曲のポイントだろう。

クラウセ&ゲイジ:声色のコントラストを他の誰よりも大胆に付けていて、それが見事に成功している。ゲイジはドラマを細かい表情を付けて伝えてくれる。
ハーゲゴール&パーソンズ:クラウセ同様巧みな演技力で、思わず引き込まれる。
プライ&ムーア:温かい美声に酔わされる。最後の「ざんげを聞く」ところでテンポを落とすのが印象的。
ホッター&ムーア:ホッターの声質と無骨な雰囲気は、この曲のキャラクターによく合っている。他に比べて声色の変化は乏しいが、朴訥とした味わいが捨てがたい。

( 2003.11.4  フランツ・ペーター )


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