Bid me discourse |
語れと命じてください |
Bid me discourse,I will enchant thine ear, Or,like a fairy,trip upon the green, Or,like a nymph,with long dishevell'd hair, Dance on the sands,and yet no footing seen: Love is a spirit all compact of fire, Not gross to sink,but light,and will aspire. Witness this primrose bank whereon I lie; These forceless flowers like sturdy trees support me; Two strengthless doves will draw me through the sky, From morn till night,even where I list to sport me: Is love so light,sweet boy,and may it be That thou shouldst think it heavy unto thee? Is thine own heart to thine own face affected? Can thy right hand seize love upon thy left? Then woo thyself,be of thyself rejected, Steal thine own freedom and complain on theft. Narcissus so himself himself forsook, And died to kiss his shadow in the brook. Torches are made to light,jewels to wear, Dainties to taste,fresh beauty for the use, Herbs for their smell,and sappy plants to bear: Things growing to themselves are growth's abuse: Seeds spring from seeds and beauty breedeth beauty; Thou wast begot; to get it is thy duty. Upon the earth's increase why shouldst thou feed, Unless the earth with thy increase be fed? By law of nature thou art bound to breed, That thine may live when thou thyself art dead; And so,in spite of death,thou dost survive, In that thy likeness still is left alive. |
語れと命じてください 私はあなたの耳を魅了しましょう 妖精のように緑を駆け回り あるいは長い髪を振り乱したニンフのように 砂浜でダンスしても 足跡はつかないのです 愛は炎がぎっしり詰まった精です 沈んでしまう塊ではなく 軽やかに昇って行くでしょう ご覧なさい このプリムローズの岸辺を 私が横たわっている このか弱い花たちが 頑丈な木のように私を支えています 二羽の力のない鳩たちは 空に私を引いて行きます 朝から晩まで 私が遊びたいと思う場所へと: 愛はとても軽いの 可愛い少年よ なのにもしかして あなたは思っているの あなたにはそれが重すぎると? あなたの心は自分の顔に魅入られてしまったの? あなたの右手はあなたの左手の愛を掴むことができるのですか? だったら自分に言い寄って 自分に振られればいいわ 自分で自分の自由を盗み 盗まれたと文句をお言いなさい ナルシスはそんな風に自分で自分を捨てて そして死にました 小川で自分の影にキスして たいまつは照らすために作られたの 宝石は身に着けるために お菓子は味わうために 新鮮な美しさは使わなくちゃ ハーブはその香りのため 若木は実をつけるため: 自分だけで成長するなんて 成長することの無駄遣いです 種子は種子を生み出し 美しさのは美しさを育む あなたは生まれたからには 子をなすのはあなたの義務です この地上の恵みに あなたが養われているのなら どうして大地にあなたの子孫を与えないの? 自然の法則によって あなたは繁殖するのが定めなのです あなたは生き続けるのだから 自分自身は死んだあとも だから 死んでもあなたが生き残るのです あなたのそっくりさんが生き続けているのだから |
54節からなる長大な物語詩「ヴィーナスとアドニス」の25〜29節 ほぼ中間部分を切り出してきて歌にしています。このあたりは延々と続くヴィーナスの台詞。美しい少年アドニスを見初めて言い寄っていることろですが、なかなか大胆な口説き文句ですね。シェイクスピアらしい際どいネタも交えてなかなか面白いです。
ビショップの曲はコロラトゥーラの技巧を散りばめた爽やかなもの。今やあまり歌われることはないようですがそれがとても惜しい愛らしい曲です。
( 2016.10.22 藤井宏行 )