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あどけない話    
 
 
    

詩: 高村光太郎 (Takamura Koutarou,1883-1956) 日本
    智恵子抄 23 あどけない話

曲: 蒔田尚昊 (Maita Syoukou,1935-) 日本   歌詞言語: 日本語


智恵子は東京に空が無いといふ、
ほんとの空が見たいといふ。
私は驚いて空を見る。
櫻若葉の間に在るのは、
切つても切れない
むかしなじみのきれいな空だ。
どんよりけむる地平のぼかしは
うすもも色の朝のしめりだ。
智恵子は遠くを見ながら言ふ。
阿多多羅山(あたたらやま)の山の上に
毎日出てゐる青い空が
智恵子のほんとの空だといふ。
あどけない空の話である。



高村光太郎の「智恵子抄」の中でも最も有名な詩。壊れてしまった智恵子の繊細な感性を描き出しています。清水脩や別宮貞雄の歌曲集に収められた力作もありますが、それよりもずっとロマンティックなのがこの蒔田の作品。彼も「智恵子抄」による歌曲集を書いているようですが、私が聴けたのはこの曲のみです。

( 2016.10.22 藤井宏行 )


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