青葉の笛 |
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一の谷の軍(いくさ)破れ 討たれし平家の公達(きんだち)あわれ 暁寒き須磨の嵐に 聞えしはこれか 青葉の笛 更くる夜半に門(かど)を敲(たた)き わが師に託せし言の葉あわれ 今わの際(きわ)まで持ちし箙(えびら)に 残れるは「花や今宵」の歌 |
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田村虎蔵の最高傑作ではないかと私は思っている見事なメロディです。1906年の初出時のタイトルは「敦盛と忠度」、源平合戦で敗れ行く平家の二人の武将のことを哀しく描き出しているしみじみとした風情が見事です。1番は一の谷の合戦での死を前にした敦盛の吹く笛の音、2番は都を落ちる時に和歌の師匠である藤原俊成に別れを告げる忠度の姿を描いています。
( 2016.10.20 藤井宏行 )