漁翁樂 |
漁夫はのんびりと |
漁翁樂陶然,駕小船, 身上簑衣穿,手持釣魚竿, 船頭站,捉魚在竹籃。 金色鯉魚對對鮮,河?波浪蛟龍翻。 兩岸垂楊柳,柳含煙,人唱夕陽殘。 長街賣魚錢,沽一杯, 美酒兒,好把魚來煎。 夜?宿在蘆葦邊,酒醉後, 歌一曲,明月照滿船。 ?──,漁翁樂陶然。 |
漁夫はのんびり幸せそうに 小舟を操り 体には蓑をつけ 手には釣竿を持って 舳先に立って 捕らえた魚を竹籠に入れる 金色の鯉は新鮮で 川の波はまるで竜が揺らしているようだ 両側の岸には柳が垂れて 柳は霧に霞んでいる 人々は歌う この夕暮れに 街で魚を売って銭を貰い 一杯に替えるのさ 旨い酒に ちょうど魚料理には良い頃合いだ 夜は葦辺で明かし 酒に酔いつぶれたら 一曲歌うのさ 明るい月の照る舟の上で ああ−−漁夫はのんびり幸せそうに |
中国民謡を江文也が編曲したことになっていますが、同じような歌詞のオリジナルと思しき音源を聞いてみますとまるで違うメロディと雰囲気ですので恐らくはメロディは江の創作と考えてもよさそうです。ピアノ伴奏つきの混声、または女声合唱がYoutubeなどでも物凄い数上がっておりますので、江の声楽作品の中でもかなりの人気曲と言えるのでしょう。のどかでゆったりとした、まさに東洋の至宝といったメロディは確かに聴いていて心地よいです。
作曲は1939年ということで、まだ日本帝国時代のことなのですね。もっとも彼自身はその前年から北京師範大学の音楽の教授となっていたようですので中国音楽へのアクセスも容易だった頃です。
( 2016.10.10 藤井宏行 )