紅豆詞 |
小豆の歌 |
滴不尽相思血泪抛紅豆 開不完春柳春花満画楼 睡不穏紗窗風雨黄昏后 忘不了新愁与旧愁 咽不下玉粒金樽噎満喉 照不見菱花鏡里形容痩 展不開的眉頭 挨不明的更漏 恰便似遮不住的青山隠隠 流不断的緑水悠悠 |
しずくは尽きず 想いに血の涙は小豆がこぼれるよう 春の柳と春の花は一杯に楼閣を飾る 安らかに眠れず 網戸の向こうの風雨 黄昏の後 忘れることができぬ 新たな憂いも 古い憂いも 呑み込めない 飯は翡翠 金の樽酒も喉を潤さず 鏡に映る姿はやせ細って行くばかり 眉間の皺を伸ばしてくれるものもなく 夜明けはもう二度と来ないのだろうか それはあたかもあの青い山に決して辿り着けないかのよう 絶えず流れゆく悠々たる豊かな水の流れのよう |
歌詞が難しいので訳してもさっぱり意味がつかめておりませんが、この詞、中国清代の長編小説「紅楼夢」の中で主人公の青年・賈宝玉が深窓の美少女・林黛玉のことを想って、届かぬ思いをひとり嘆く場面の歌です。劉はこの詞に1943年にメロディをつけまいした。Youtubeでこの「紅豆詞」と検索したらホセ・カレーラスが歌っている動画がいの一番にヒットしてとてもびっくり。もっともこの詞、2000年に別の作曲家によって現代チャイニーズポップスとしてリメイクされたみたいで、そちらの動画の方(南方二重唱という女性デュオが歌っていた)がたくさんありましたが。こちらはちょっと私の耳では今一の音楽でしたが今の若者にはこちらの方が受けるのかもしれません。
( 2016.10.09 藤井宏行 )