Der Mond hat eine schwere Klag' erhoben Italienisches Liederbuch |
月がひどい不満をぶちまけ イタリア歌曲集 |
Der Mond hat eine schwere Klag' erhoben Und vor dem Herrn die Sache kund gemacht: Er wolle nicht mehr stehn am Himmel droben, Du habest ihn um seinen Glanz gebracht. Als er zuletzt das Sternenheer gezählt, Da hab' es an der vollen Zahl gefehlt; Zwei von den schönsten habest du entwendet: Die beiden Augen dort,die mich verblendet. |
月がひどい不満をぶちまけ、 主の御前で事のいきさつを訴えた。 私はもうあの天空にはいたくない、 あなたが私から輝きを奪い取ってしまったのです。 私が最近、星団の星を数えたら、 数が減っていました。 あなたが最も美しい星のうちの二つを盗んだからです、 私の目をくらませた、あの両の瞳を。 |
一見起伏の少ない地味な作品だが、リートを味わう醍醐味はこの種の作品から得られるのではないか。シューベルトの「冬の旅」の中にある「幻日」でも恋人の両目を暗示する光が沈んでしまったと歌われているが、そこでの絶望感はヴォルフのこの曲にはない。むしろ、目がくらんで彼女の目が見えなくなってしまうほどだという恋の始まりの状況を歌っているのだろう(シューマンの「女の愛と人生」の第1曲のような心境か)。
F=ディースカウ&ムーアが説得力のある演奏で良かった。
シュミット&ヤンセンも見事だが、この頃はまだ師匠ディースカウの影響がやや見え隠れしている。
ハーゲゴール&パーソンズ、スコウフス&ヴィイタサロ、クラウセ&ゲイジもいい演奏。
( 2003.9.22 フランツ・ペーター )