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いくさごっこ    
 
 
    

詩: 北原白秋 (Kitahara Hakusyuu,1885-1942) 日本
      

曲: 大中寅二 (Oonaka Toraji,1896-1982) 日本   歌詞言語: 日本語


鉄の兜に 機関銃
機関銃
進め 名誉の連隊旗
  ツラ トラ タッタ
  チテタッタ

はしれ 野砲に装甲車
装甲車
赤い夕日だ 満州だ
  ツラ トラ タッタ
  チテタッタ

駆けよ 蹴とばせ 雪 氷
雪 氷
零下二十度 こりゃひどい
  ツラ トラ タッタ
  チテタッタ

なんだ塹壕 鉄条網
鉄条網
うなれ 空から爆撃機
  ツラ トラ タッタ
  チテタッタ

投げよ 手に手に手榴弾
手榴弾
たかが馬賊だ 追ひちらせ
  ツラ トラ タッタ
  チテタッタ

喇叭ふけふけ そら進め
そら進め
つづけ 後から看護卒
  ツラ トラ タッタ
  チテタッタ

鉄の兜に 機関銃
機関銃
僕ら 子供の日本軍
  ツラ トラ タッタ
  チテタッタ



1932年に白秋の書いたこの詩は満州事変のさなかでもあり、かなり生々しい内容となっています。こういう詩を子供たちに歌わせようというのはちょっといかがなものかと思ってしまいますが、戦争のもたらす高揚感は時に人をこんな風に変にしてしまうのでしょう。
曲を書いた大中寅二はクリスチャンとして非常に端正で穏やかなメロディを普通は書く人なのですが、ここではそうも言っておられず軍隊ラッパを下敷にした景気のよいキッチュな音楽にしています。その意味では大中作品の中ではあまり出来が良くはないのですがこんな作品がこの時代に作られたという歴史の証言として取り上げることにしました。Victorの「日本の軍歌アーカイブズVol.4 戦時下の少女歌謡」に平井英子の歌で収録されています。

( 2016.10.07 藤井宏行 )


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