Selig ihr Blinden,die ihr nicht zu schauen Italienisches Liederbuch |
闇の世界に生きる人たちは幸いだ イタリア歌曲集 |
Selig ihr Blinden,die ihr nicht zu schauen Vermögt die Reize,die uns Glut entfachen; Selig ihr Tauben,die ihr ohne Grauen Die Klagen der Verliebten könnt verlachen; Selig ihr Stummen,die ihr nicht den Frauen Könnt eure Herzensnot verständlich machen; Selig ihr Toten,die man hat begraben! Ihr sollt vor Liebesqualen Ruhe haben. |
闇の世界に生きる人たちは幸いだ。 熱に浮かされるような魅力的な女性に目を奪われることがないのだから。 無音の世界に生きる人たちは幸いだ。 恋する者どもが嘆きの言葉を口にしているのを平気で笑いとばしていられるのだから。 無言で生きる人たちは幸いだ。 女性に、心の中のせつない悩みを打ち明けずにすむのだから。 埋葬されて眠っている人たちは幸いだ! 恋の苦悩と無縁でいられるのだから。 |
ピアノパートで執拗に4つの下降音型が繰り返される様はショパンの英雄ポロネーズも顔負けというくらいだが、うじうじとした恋に悩む男の繰言はショパンの勇ましさとは全く無縁である。
F=ディースカウの全集をかつて中古LPで入手した時、歌詞対訳がしっかり掲載されていたのに、CD化された際のブックレットにはただ「体の不自由な人たちへのメッセージ」の一言だけしかなく驚いたものだった。言葉の使用に敏感にならざるをえない昨今の事情からやむをえないのかもしれないが、古い映画がDVD化される時「今日では不適切な表現が含まれていますが、製作者の意図を尊重するため修正されていません」という断り書きをたびたび目にすることを考えれば対訳にも解決の方法はあるのではないか。ただ、この詩の場合、確かに恋の苦悩を歌うのにやや軽々しく引き合いに出している感が否定できないので、私も訳す際、多少の意訳をせざるをえなかった。
演奏はF=ディースカウ&ムーアの演技力がさすがだが、穴場的なところではトム・クラウセ&ゲイジの演奏が情けない感じがよく出ていて曲にマッチしていた(GLOBE)。
( 2003.8.31 フランツ・ペーター )