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Auch kleine Dinge können uns entzücken    
  Italienisches Liederbuch
小さくてもうっとりとさせられるものはある  
     イタリア歌曲集

詩: ハイゼ (Paul Heyse,1830-1914) ドイツ
    Italienisches Liederbuch-Rispetti 109 Auch kleine Dinge können uns entzücken 原詩:イタリア詞

曲: ヴォルフ (Hugo Wolf,1860-1903) オーストリア   歌詞言語: ドイツ語


Auch kleine Dinge können uns entzücken,
Auch kleine Dinge können teuer sein.
Bedenkt,wie gern wir uns mit Perlen schmücken;
Sie werden schwer bezahlt und sind nur klein.
Bedenkt,wie klein ist die Olivenfrucht,
Und wird um ihre Güte doch gesucht.
Denkt an die Rose nur,wie klein sie ist,
Und duftet doch so lieblich,wie ihr wißt.

小さくてもうっとりとさせられるものはあるし、
小さなものが尊いことだってあるわ。
ほら、わたしたち真珠でおしゃれするのが大好きでしょう。
真珠は高価だけど、ちっちゃいわよ。
ほら、オリーヴの実なんかほんとにちっこいのに、
いいものだからって、手に入れようとするじゃない。
バラの花だってあんなに小さいのに
とってもいい匂いがするわよ。お分かりでしょ。


「イタリア歌曲集」(「イタリアの歌本」)のモットーのように第1曲に置かれているが、小さいものへの讃美というのはもっと幅を広げて考えれば、大規模な交響曲やオペラと対照的な、リートというミニアチュールの世界に対するヴォルフの主張が込められているのかもしれないし、さらに私達リート愛好家の気持ちを代弁してくれているかのようでもある。
初めてこの曲を聴いた時、最終行のdochに付けられたピアノパートの不協和音が気になったが、これが倚音というものだとこの時初めて知った。
アーメリングの1997年横浜公演のアンコールでこの曲が歌われたが、リートという小芸術への限りない彼女の愛情が感じられるのと同時に、豊満で力強い歌声を持たなかった彼女なりの最後の自己主張のようにも感じられた。

録音はほとんどの女声リート歌手が手がけており、どれも素晴らしく結局は聴く人の好みということになるだろう。アーメリング(ボールドウィン、ゲイジと2種類)、ボニー(パーソンズ)、マティス(エンゲル)、アップショー(ドイチュ)、コトルバシュ(パーソンズ)、シュヴァルツコプフ(ムーア:全曲盤以前のモノラル録音)、ゼーフリート(ヴェルバ)などがあるが、最近のエルツェ(ヤンセン)やイソコスキ(ヴィイタサロ)もなかなか良かった。
シュヴァルツコプフ、ムーアと全曲を録音したF=ディースカウが男声としては珍しくこの曲を歌っているが、若々しく艶のある美声は魅力的ながら、3行目の内容からしてドイツ語圏の人にはこの人選に疑問を感じるのではないか。

( 2003.8.31 フランツ・ペーター )


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