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春と赤ン坊    
 
 
    

詩: 中原中也 (Nakahara Chuuya,1907-1937) 日本
    在りし日の歌 (1938)  春と赤ン坊

曲: 諸井三郎 (Moroi Saburou,1903-1977) 日本   歌詞言語: 日本語


菜の花畑で眠つてゐるのは......
菜の花畑で吹かれてゐるのは......
赤ン坊ではないでせうか?

いいえ、空で鳴るのは、電線です電線です
ひねもす 空で鳴るのは あれは電線です
菜の花畑に眠つてゐるのは 赤ン坊ですけど

走つてゆくのは 自転車々々々
向ふの道を 走つてゆくのは
薄桃色の 風を切つて......

薄桃色の 風を切つて
走つてゆくのは菜の花畑や空の白雲
 ー赤ン坊を畑において



どことなくユーモアが感じられる音楽となりましたが、我が子を亡くした中也にとってみれば深い悲しみの中で紡ぎ出された詩ですのであまり軽妙に歌われるのも問題でしょうか。幻想的な視覚イメージを十分に描き出してしみじみと歌うと良い味が出てきます。

( 2016.07.30 藤井宏行 )


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