イギリス海岸の歌 |
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Tertiary the younger Tertiary the younger Tertiary the younger Mud-stone あをじろ罅破(ひわ)れ あをじろ罅破れ あをじろ罅破れに おれのかげ Tertiary the younger Tertiary the younger Tertiary the younger Mud-stone なみはあをざめ 支流はそそぎ たしかにここは修羅のなぎさ |
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賢治が好んで散策した北上川のほとり、彼はここを「イギリス海岸」と名付けました。ここを題材として彼が作詞作曲したこの歌、とても不思議な音楽です。英語のTertiary the youngerの繰り返し(しかも5度の跳躍はたいへんシンプルなメロディ)、続く日本語の詩も味も素っ気もない情景描写です。あっさりしたメロディはしかしなぜかとても耳に残ってしまうのでした。
このTertiary the younger 地質学の用語のようで、彼がここをイギリス海岸と名付けたのも、イギリスの海岸と似たような地質的形状があったのが理由なのだそうです(実際は形成の時代やメカニズムは全く違っているようですが)。新第三紀(2000〜250万年前)の地層ということで、マッドストーンというのは泥岩のことです。
( 2016.07.16 藤井宏行 )