やすらいの歌 |
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ひと日は過ぎぬ ひと群の 木立の影の わが屋根に かかる星あり 夜は来ぬ やすらいの時は来ぬ ひと日は過ぎぬ なりわいを ことなく終えし たそがれの かるき心の 夜は来ぬ やすらいの時は来ぬ ひと日は過ぎぬ 日のめぐみ われらに深き 額づきて 明日は祈らむ 夜は来ぬ やすらいの時は来ぬ |
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昭和12年に発売されたSPがオリジナルなのだそうですが、戦後の昭和22年12月、NHKのラジオ歌謡で再び取り上げられたものです。百田宗治の詩は実に彼らしい繊細なものですが、意外だったのはあの演歌の神様・古賀政男がこんなにも優しく愛らしいメロディを書いていること。12月といえばクリスマス時期ですが、その敬虔な雰囲気を醸し出しているようにさえ聴こえます。とても良い曲ですし、歌詞も決して時代を感じさせるものではありませんので、もっと今でも歌われたら良いのにと思うのですが、すっかり忘れ去られた感のある歌になっています。
私がこの曲の存在を知ったのは藍川由美さんのCD「ラジオから生まれた歌」(Camerata)。日本の抒情歌の素晴らしいアンソロジーでした。
( 2016.06.18 藤井宏行 )